闇の蒼姫 伍 (文豪ストレイドッグス)

十七話 ページ24

…少し、調べていた


一番知りたかった、太宰さんの捕まった原因については知る事ができなかった


もっと頑張れば知れたのだろうが、余り派手に動き過ぎる訳にはいかない


それに、それを探していた最中、とても興味深いものを見つけた


恐ろしく惨い死体が四体見つかったらしい


一人は横浜の若手議員
上半身の皮を剥がれ、裏返しに着せられていた
しかも皮を剥がれる間、その議員は生きていたらしい


一人は沿岸警備隊(コォストガアド)の副司令
頭に腐食性劇薬を浴び、骨まで溶かされた


一人は国防省・対外治安局の局長秘書
口から空気圧縮機(エアコンプレッサー)で超高圧空気を入れられ、毛穴から全血液と神経を噴き出した


一人は軍警・異能犯罪対策課の一等軍吏
"自 殺草"とも呼ばれる南米の激痛植物を腋に植えられ密室に放置
自分の骨が露出する程掻き毟った後、自ら頭を壁に打ち付け死亡


…マフィアである私でも引くレベルの惨さだ


流石にそこまで惨い死体は見た事が無い


というか見たくない



そして、この殺人はどうやら《天人五衰(てんにんのごすい)》というものに見立てているらしい


それは、六道輪廻の最高位である「天人」が、死の間際に顕す五つの兆候(サイン)の事、らしい


私はそれをよく知らない…というか、今迄知らなかったからよく判らない



調べたところ…

「衣裳垢膩(えしょうこうじ)」
衣服に垢と脂が染み出す


「頭上華萎(ずじょうけい)」
頭部の華鬘(けまん)が萎れ腐る


「身体臭穢(しんたいしゅうえ)」
身体が汚れ臭い出す


「腋下汗出(えきげかんしゅつ)」
腋の下から汗が流れる


「不楽本座(ふらくほんざ)」
席に戻るのを嫌がる


の五つらしい



ただ…「不楽本座」だけがまだ無い





「…一体誰が(・・)"席に戻るのを嫌がる"のかな」


嫌な予感と共に、小さく呟いた

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