大道具係 ページ6
.
No side
みんなが準備で働いてる中、火賀はゲームをしてた。
水「いい身分だな、館長は」
火「当日大忙しやで」
水「そういえばAちゃんは？」
火「Aは稲木と土屋に連れてかれた。俺は待ってるだけ」
水「そうか」
言いづらそうに頼みがあると言ってきた水本に火賀は思わず顔を上げた。
水「大道具係もやってもらえないか？今少し、海根さんと距離を置きたいんだ」
火「お前、海根さんとなんかあったん？」
水「俺もよく分からない」
火「は？」
水「海根さん、自分のことあゆみちゃんだと思い込んでるみたいなんだ」
Aにここで待っててって言われていた火賀だが、水本が上手く言ってくれるらしく火賀はその頼みを聞くことにしたのだ。
小「しろちゃん！！あ……」
海根は何故かAとあゆみしか呼ばないニックネームで水本の名前を呼んだ。
火「あいつならこーへんで、気変わって別の係やりたいんやってさ」
小「…………」
火「海根さんさ、公史郎に気あんの？」
小「え？」
火「あいつ彼女いるからやめた方がいいと思うで」
小「(それ……私だよ、)」
あゆみはそう思うが、それを伝えられるはずもなく大人しく大道具の準備をこなしていた。
すると、後ろから笑い声が聞こえて、みんなと同じように自分をバカにするのかと悲しくなったあゆみ。思わずそんなにおかしいのかと聞くと、即答でYESの回答が帰ってきて落ち込むのも束の間。
火「マジで下手！これなんなん？」
小「カッパだけど……」
火「ははっ、怖さ1ミリもないって」
小「ひど！一生懸命描いたのに！」
火「悪い悪い、でもあいつといい勝負やな」
小「あいつって？」
火「A。あいつもすっごい絵下手」
授業中、前の席で火賀の古典の教科書に勝手に落書きをしていたAは隣から微かに聞こえてくる笑い声に目を向けた。
【『なに？』】
【火「いや絵下手くそやなーって思って笑」】
【『ひど、俊くんも別に上手くないでしょ』】
【火「これよりはましやわ、てかそれ俺の教科書やんけ！！」】
ムッとしたAが今日から一緒に帰らないと言い出し、火賀はそれはなしやろ！？と文句を言うが、全て無視するAにさすがに焦ったようで、ごめんごめん俺が悪かったからと宥める火賀。
先生にうるさいと注意されて結局笑い合う二人に、本当に仲良しだなと思ったことはあゆみにとって記憶に新しいものだった。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 8人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：百合姫 | 作成日時：2024年3月6日 13時
