命日 ページ2
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今日もまた誰もいない家に帰って、ひとり。
一年前に交通事故で両親を亡くし、私だけが生き残ってしまった。大好きだったママとパパがいなくなる日がこんなに早いだなんて思わなかったんだ。そう、今日はあの人たちの命日だ。
プルルルルルル
『………俊くん、』
火「A？今家か？」
『うん、どうしたの？』
火「いや今日元気なかったから気になっとってさ。命日やろ……？」
『よく覚えてるね』
火「Aのことはなんでも覚えとるよ。なぁ、今から家行ってええ？」
『ん、来て』
火「おう、すぐ行くわ」
でも私はひとりじゃない、だって俊くんがいる。学校でも会ってたのにもう寂しいなんて重症なのかもしれない。
なんて思っていると、もう一度電話がかかってきてディスプレイを確認すればあゆみからだった。
『もしもし』
小「あ、もしもしA？今大丈夫？」
『うん、大丈夫だよ』
小「今日……ママさんとパパさんの命日だったよね。ずっと泣きそうな顔してたから心配だったんだ」
『………ありがと、あゆみは優しいね。今から俊くんが来てくれるからもう平気だよ。』
小「そっか、よかった。火賀くんの力は偉大だね笑」
『本当にね。でもそれだけで電話してきたんじゃないんでしょ？』
小「う、うん……ちょっとAに報告しておきたいことがあって」
『なぁに？』
小「しろちゃんと付き合うことになったの。こんな日に言うことじゃないと思ったんだけど……どうしてもAに一番に報告したくて」
『え、おめでとう！やっとだね！』
小「そうなの……！！」
ガチャ
俊くんに合鍵を渡してあるからその鍵を使って入ってきたんだろう。家の扉が開く音がした。
火「ごめん、電話中やった？」
『あ、大丈夫。あゆみごめんね、俊くん来たから切るね。また明日いろいろ聞かせてよ。』
小「うん！また明日ね！」
あゆみとの電話を終えてから携帯を机の上に置き、私は俊くんに抱きついた。
『………来てくれてありがと、』
火「なに言うてんねん、Aのためやったらいつでも来るよ」
『好き』
火「俺も好きや、顔上げて」
俊くんの首元に埋めていた顔を上げると、キスの嵐が降ってきた。
あゆみがいて、しろちゃんがいて、そして大好きな彼がいて、もう何もいらないと思っていた。でも私は何も分かっていなかったんだ。この幸せがどれほど大切なものだったのか。
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作者名：百合姫 | 作成日時：2024年3月6日 13時
