それぞれの岐路 ページ8
走ろうとして、体勢を崩す
体を左右に傾けながら急いだ様子の神谷さんが、手の届く距離まで来てくれた
来てくれた…………
その事実で、力が抜けてく自分が居る
まるで思い出したかのように、ずきんずきんと頭が痛んだ
「血が、出てるじゃないですか」
「神谷さん…………」
しゃがみ込もうとして舌打ちをひとつ
松葉杖は外れたけど、無理に動かすのはまだ痛いのだろう
長い体を屈めると、脇の下に手を入れてゆっくり私を引き上げた
「彼女に何を……！」
「転んだんです」
「あ？」
「自分で滑って打ったんです」
桜木ちゃんに怒りを向けようとした神谷さんは、私の声に目を向けた
「んなもん誰が……！」
「おねがい…………」
「…………………………………。」
「神谷さん、おねがい」
怒りと疑念を含んだ顔が、諦めて呆れたものに変わった
「げぇ！？Aちゃん！めっちゃ血ィ出てるじゃん！すぐに処置しないとォ！」
「藤井先生、私はいいです」
「いや、遠慮してる場合じゃないよ！」
桜木ちゃんの複雑そうな顔
彼女は暴走しがちだけど、ホントは友達思いの優しい子だ
「桜木ちゃんが怪我してるんです。すぐに手当てしてあげて」
「A…………」
小さな声が零れ落ちた
「あ〰️〰️！るりちゃん！どうしたの〰️？きれいな手がかわいそうじゃない！」
藤井先生に連れられて、桜木ちゃんは部屋を後にした
扉の向こうで振り返る
「A、約束、本当だよね？」
すがるように見詰める桜木ちゃんの顔は、きっと、ずっと、忘れない
「当たり前でしょ？友達なんだから」
ばたんとそのまま扉が閉まる
その後、病室に来たカナミから、桜木ちゃんが殺人事件で自首をしたことを聞かされた
藤井先生も別の殺人に関与していて、病院はしばらく荒れそうだ
「藤井先生を助けるためにしたらしいって聞いたけど、ちょっと怖くなっちゃった。もともと少し起伏激しかったでしょ？」
「…………うん」
カナミはそうは言うけれど、
桜木ちゃんは大事だと決めた相手のためには、一生懸命しちゃう子だ
したこと自体は許されることではないけれど、桜木ちゃんがいい子だってことは
私だけはこれからもずっと、一生信じていきたいと思った
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はむ(プロフ) - 涼嶺さん» うれしいコメントありがとうございます！ラストスパート頑張りますね！お話も終盤で暗めですが、後もう少し付き合ってもらえるとうれしいです(^^) (2019年10月20日 1時) (
レス) id: 62ba10663f (このIDを非表示/違反報告)
涼嶺(プロフ) - とても楽しく読ませて頂いてます！これからも頑張ってください！ (2019年10月20日 0時) (レス) id: 9bbe7fe112 (このIDを非表示/違反報告)
はむ(プロフ) - 明里香さん» ありがとうございます！ (2019年10月11日 7時) (レス) id: 62ba10663f (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 後戻りができないの話、誤字がありました。「それはだけは」ではなく、「それだけは」です。 (2019年10月4日 23時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
はむ(プロフ) - 明里香さん» ご指摘ありがとうございます！助かります！ (2019年10月3日 17時) (レス) id: 62ba10663f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はむ | 作成日時：2019年9月16日 0時
