後戻りができない ページ30
神谷さんは最近思い詰めている
眠りが浅い人だと思ってはいたけど
最近は夜な夜な起きながら、メモを広げて考え事をしていることが多い
水城さんとお話をしているときも、険しい顔をしていることが増えた気がする
まあ、捜査の話をしてるんだからヘラヘラ笑っててもおかしいけど
「これから一週間、新人ナースマンの指導でふたりで回ることになりました。せっかくの機会ですから少しゆっくりしたらどうですか？」
少し目の下に隈を作っている姿を見れば、私に無理に付き合わせられない
神谷さんがついて回ってくれると、マダム中心に結構な頻度で喜ばれるけど
「そうですか。ではそのナースマンの人となりを見極めてから」
目頭をぎゅうぎゅう押さえながら、立ち上がった神谷さんにため息をついた
、
、
「午前中のお仕事はこんな感じだけど、どうかな？何か質問ある？」
「いや…………、その、ええと…………」
「初めは、分からないことすら分からないとかよくあるんだよね。流れだけまず分かればいいよ」
神谷さんが居ない状態での仕事
ホントはそれが当たり前なんだけど、なんだか体がスースーするような、物足りない、変な感じ
扉の向こうから目を光らせて、刑事ごっこしている神谷さんがいつの間にか当たり前になってた
ダメだ
毒されてる
この一週間でなんとか普通の感覚に戻さないと
と、言いつつもこれから昼休憩かつ神谷さんのお食事の手伝い
正直もう必要ないと思うんだけど、本人が痛いというのを疑うわけにもいかないし
新人の関くんをお昼に行かせて、病室の方に向かう
「わ………」
「あ、すみませ……ん」
扉を開けるすんでのところで、急に扉が開いた
顔を赤くして走り去っていったのは
「え………カナミ………？」
カナミ、涙目になってた…………
っていうか、なんでカナミがここに？
普段、部屋にはあまり入らないのに
【あの男の血縁です】
事情聴取でもしたのかな
と考えるのが順当だけど
入院中の神谷さんがわざわざする意味がわからないし
あの様子、まさか、カナミを襲っ………？
そこまで考えたら胸がズキンと痛んだ
そういえば、最近神谷さん、キスしてこなくなった
私に飽きてカナミを？
思わず扉に力を込めた
あんまり思いっきり開いたもんで激しく音がなったけれど
「どうしたの」
目を見開く神谷さんの頬には赤くなった痕がある
「最低です」
「なにが」
じわりと涙が滲んで、扉の方に踵を返した
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 399人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
はむ(プロフ) - 涼嶺さん» うれしいコメントありがとうございます！ラストスパート頑張りますね！お話も終盤で暗めですが、後もう少し付き合ってもらえるとうれしいです(^^) (2019年10月20日 1時) (
レス) id: 62ba10663f (このIDを非表示/違反報告)
涼嶺(プロフ) - とても楽しく読ませて頂いてます！これからも頑張ってください！ (2019年10月20日 0時) (レス) id: 9bbe7fe112 (このIDを非表示/違反報告)
はむ(プロフ) - 明里香さん» ありがとうございます！ (2019年10月11日 7時) (レス) id: 62ba10663f (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 後戻りができないの話、誤字がありました。「それはだけは」ではなく、「それだけは」です。 (2019年10月4日 23時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
はむ(プロフ) - 明里香さん» ご指摘ありがとうございます！助かります！ (2019年10月3日 17時) (レス) id: 62ba10663f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：はむ | 作成日時：2019年9月16日 0時
