重なる想い ページ48
「事情聴取、嫌なんです」
返事の代わりに髪を撫でる
「事件のこと嫌でも思い出すし、息がしにくくなっちゃうから」
「そう」
「あの笑顔の人を思い出すとね？すごく、すごく、まだ怖いの」
「怖いのが普通だから。俺もまだ、怖いし」
どんどん口調が幼くなる
普段敬語で話しているから、それがまたかわいく感じて
体に回した腕に力を込めた
「退院したら、外に出るでしょ？危険だって、藤代さんが」
あ？藤代？
なんであいつが
「藤代さんが来るのもホントは嫌なの。気も遣うし、疲れちゃうし」
「藤代は、よく来るのか」
「神谷さんが、水城さんと出ていくと、しばらくしたころに会いにくるの」
あの野郎
何のつもりで…………
「私、恋愛まだ怖いから、あんな変な風に距離縮められるのすごく、嫌」
「………………………………。」
正直 腹が立って仕方ないが、俺が口を出せる問題なのか、判断に迷うところがあった
「恋愛、嫌なことあったの」
こうして聞き出すのは狡いだろうか
でも、知りたい気持ちの方が勝った
「私、かわいげないんだって」
好みは人それぞれだからな
俺にはよくわからないが
「男の俺より仕事忙しくて、給料だって高くて、一緒にいたって隙がなくて、Aはひとりで大丈夫だろ…………お前、息が詰まるんだよ」
「そんな風に言われたのか」
こんな落ち着きのない女のどこがと、正直思う俺が居るが
彼女のことだ
相手の前で気が抜けなくて、スイッチを切る余裕もなかったのか
「大学時代は違ったのに。
……………私だって好きで忙しくした訳じゃない。
仕事覚えるの必死だったし、誰かの役に立ちたいと思えば、生半可な態度じゃ臨めなかった」
その気持ちは痛いほどに解る
名字Aの泣く姿に、過去の自分を重ねた
「仕事 続けていく限り、きっとまた同じ風に言われちゃう。私には恋愛なんて無理」
なんとなく俺たちは似ている
同じ穴の職業病
「辛いよな」
「辛いよ…………」
ぐす…………とすすり上げる彼女を、掬い上げてやりたくなった
「神谷さんと居ると、辛いよ。好きになっちゃいそうで、止まらなそうで、私、どんどん辛くなる」
【相性がいいと似るって言うし】
どっかのおっさんの戯言が聞こえた
「もういいよ。戻って」
言葉と共に口付ける
ぱちりとAが瞬いた
「え？か、神谷さん！？」
「A、…………好きだ」
俺だって、もう、自分を誤魔化せねえよ
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はむ(プロフ) - 明里香さん» ご指摘ありがとうございます！ (2019年8月31日 9時) (
レス) id: 62ba10663f (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 誤字がありました。「大を占めるが」ではなく、「大部分を占めるが」です。 (2019年8月30日 21時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 誤字がありました。「ベッドの上での再開」ではなく、「ベッドの上での再会」です。 (2019年8月30日 21時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
はむ(プロフ) - ななみさん» ななみさん 応援コメントありがとうございます！うれしいです！更新続けられるようにがんばりますね(^^) (2019年8月28日 11時) (レス) id: 62ba10663f (このIDを非表示/違反報告)
ななみ - はむさん！頑張ってください！ 応援しています！ (2019年8月27日 23時) (レス) id: 3f5cfa4750 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はむ | 作成日時：2019年8月22日 23時
