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宏くんちに着いて鍵を開けようとしたら、内側から解錠されて驚いてしまった。
あれ？
宏くんの方が先に着いてたんだ……。
「おかえり、A……」
「お邪魔しまーす。宏くんの方が早かったんだね。」
「雨に降られちゃったの……？」
「そう、傘なくてびっしょり。宏くん、このままシャワー借りてもいい？」
靴を脱ぎながら話していたけど宏くんの返事がなくて、顔を上げると私のことをじっと見つめていた。
「宏くん？シャワー借してもらってもいい？」
「……Aちゃん。」
「うん、なに？」
「それ、誰の服？」
「濡れちゃったからね、友だちが傘と一緒に貸してくれたの。」
「誰？友だちって。」
「え、一緒に飲んでた大学の友だちだけど……。」
宏くんは眉間に皺を寄せて、私を見ていた。
もしかして、怒ってる……？
「桃子ちゃんじゃないよね？」
「男友だちが貸してくれて。」
「家、行ったの？」
「あの……玄関で着替えさせてもらっただけだよ？」
そう言ったら、宏くんは表情を変えずそのまま私に一歩近づいた。
「俺、簡単に男の家に行くなって言ったよね？忘れたの？」
「忘れてない！傘を借りる為に行っただけなの。」
「じゃあ、なんでこんなの着てんだよ。」
借りたパーカーとTシャツを無理矢理脱がされ、玄関で上半身はブラだけにされてしまい、慌てて胸元を腕で隠した。
「やだっ、やめて！」
「ねえ、なんで？」
「それは……ただ、雨で濡れて透けちゃったから、貸してくれただけ。」
「もう……なにしてんの？桃子ちゃんはどうしたの？」
「桃子は先に帰っていなかったから……。」
「……じゃあ、男と2人で飲んでたの？」
「うん。」
「はぁ……。」
宏くんの顔が見れなくて俯くと盛大なため息をつかれて、身体がビクついてしまった。
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作者名：にかみつば
| 作成日時：2020年12月9日 18時
