ひみつな恋 ⑥ (ページ48)

今日:3 hit、昨日:19 hit、合計:74,704 hit

288……Ki ページ48

俺が少しずつ有名になっていくのが不安だったんだと思う。

次第に紫ちゃんからの束縛も激しくなっていって、私と仕事どっちが大事なの？と、口癖のように俺へぶつけるようになった。

自分の夢、メンバーと掴み取りたい夢と、紫ちゃんとの現在と未来。

俺は前者を選ぶことしかできなかった。

徐々に心の距離が広がってしまい、最後は彼女に泣きながらさよならを言われて終わりを迎えた。

いや、俺が言わせてしまったんだと思う。

俺たちの関係はメンバーや藤ヶ谷にさえ秘密の関係だった。

俺はせめて藤ヶ谷には報告しておきたいとも思ったけれど、紫ちゃんは頑なにそれを拒んだ。

結局、理由はわからないまま今も誰一人知ってる者はいない。

「宏くん。」

「んえ！？あ、どした？」

「紫さん、遅いよね？心配だしちょっと見てくるね。」

「あ、あぁ。何かあったら連絡して。」

「うん。」

Aちゃんが廊下へ出て行くと、俺らの会話を聞いていたクソガキニカちゃんが口を挟んできた。

「冴島さんも俺と同じでお腹下して、マシュマロしてん……痛ぇっ！」

「おまえと一緒にすんな、バカ。おまえは本当デリカシーってもんがないんだよ。」

「痛ってー！心配してんじゃん！」

「そんな心配の仕方なら、しない方がマシだっつの。」

おまえの腹痛も本気で心配してたっつーのに、心配して損した気になるわ。

Aちゃんが出て行ってから20分近く2人が戻ってくることはなくて。

俺には待ってる時間が1時間くらいに感じて、堪らなく怖かった。

もしかしたら紫ちゃんは俺たちの過去をAちゃんへ話したかもしれない。

Aちゃんは紫ちゃんを見て、なにかを感じ取ってしまったかもしれない。

どうすることもできない俺は、ただひたすら祈るしかなかった。