ひみつな恋 ⑥ (ページ47)

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紫ちゃんはいつか自分の店を持ちたいんだと夢を聞かせてくれて、そんな紫ちゃんに刺激を受けた俺は、必ずデビューしてやると自分自身に誓った。

後輩にデビューを越された時も、就職で悩んだ時も、紫ちゃんに励まされながらどうにか気持ちを切らすことなく進み続けることができた。

紫ちゃんとの関係は上手く行っていた。

今とは違い、顔がさすこともなかった俺は人目を気にすることなく色んな場所へ出掛けて、デートというものを楽しんだ。

純粋に楽しめた青春時代と言ったら、この頃を思い出す。

酒や車なんかの大人な遊びを俺に教えてくれたのも、紫ちゃんだった。

そんな楽しかった日々を送っていたせいもあり、単独でコンサートをやらせて貰えるようになった頃から、関係がうまく行かなくなっていった。

少しずつテレビにも出られるようになって、徐々に名前や顔もさされるようになったことで、人目につくような場所へは行けなくなり、今までの付き合い方ができなくなってしまった。

彼女の不満が溜まっていることに気づけず、俺は相変わらずデビューを勝ち取ることに必死だった。

デビューが決まったら真っ先に紫ちゃんに伝えたかったし、誰よりも喜んでくれると信じて疑わなかった。

けれど実際デビューの報告をすると、彼女は喜びとは違う反応をした。

「またみっくんは手の届かない人になっていっちゃうんだね……。」

「え。」

「みっくん、気付いてなかった？私、途中からみっくんの夢なんて応援してなかった。デビューなんてできなければいいとさえ思ってたの。最低でしょ……。」

「え、なんで……？俺、紫ちゃんと釣り合う男になる為に、必死で頑張ってたんだよ。」

「2人でただ手を繋ぎながら歩いたり、チェーン店の居酒屋やファミレスで食事できるだけで幸せだった。私の元から離れてみんなのモノになってしまうのなら、こんなの望んでなかった……。」

紫ちゃんは泣きながら自分の想いを吐露した。