ひみつな恋 ⑥ (ページ46)

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「あの……みんなの前で恥ずかしいから、離して？」

「んふふ。残念ー。」

回していた腕を外してAちゃんから離れて空いてる左隣に座ろうとした時、背を向けずっと藤ヶ谷と話していた女のコが俺を見ながら固まっていた。

「Aちゃんの彼って……」

「あ……実は、そうなんです。」

Aちゃんの友だちって、紫ちゃんのことだったの……？

衝撃的すぎて言葉を失ったけれど、それはきっと紫ちゃんも同じなんだと言葉と表情を見て悟った。

「久しぶりだね、みっくん……。」

「おう……久しぶりだな。元気だった？」

向こうの出方に合わせ、不自然にならないように俺は言葉を返した。

「もちろん、元気だったよ。Aちゃんの彼って、みっくんのことだったんだね……。」

「あー、うん。」

「ねえ、みっくん。今……幸せ？」

なんでそんな困ったような顔して、聞くんだよ。

「幸せだよ。」

「そっか………よかったね？」

「あぁ。」

俺の返事を聞いた紫ちゃんは顔を歪ませ、すぐさま立ち上がってAちゃんに声をかけた。

「私、お手洗い行ってくる。」

「あ、はい。」

なんでそんな泣きそうな顔した？

俺らが付き合ってたのなんて、とっくの昔じゃん。

なのになんで……？

あんな顔見せられたら、勘違いしそうになるじゃんかよ。

・

紫ちゃんと知り合ったのは、俺が大学生の頃だった。

今日みたいにライブを観終わった後に楽屋へ挨拶にきた紫ちゃんを、自分の幼馴染みだと藤ヶ谷は俺らに紹介してくれて。

俺より一つ年上の紫ちゃんは、ペットサロンで働いていると言った。

俺と横尾さんと藤ヶ谷の兄組3人と紫ちゃんは年も近く、次第に4人で遊ぶようになった。

いつものように遊んで紫ちゃんをアパートへ送る帰り道、紫ちゃんから告白をされて俺たちは付き合うことになった。