ひみつな恋 ⑥ (ページ45)

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「紫さんとAちゃん、今日は来てくれてありがとうね。ステージからちゃんと見えたよ。」

「え、そうなんですか？」

「うん。俺Aちゃんに手ぇ振ったんだけど、無視されちゃってショックだったなー。」

「えぇっ！あ、あれって私にだったんですか！？」

「ふふ、もちろんそうだよ。ピンクのペンライト振っててくれてたでしょ？」

「振ってたけど、えぇ……なんだか信じられないです。」

ステージからでは私のことなんて絶対に見えていないんだと思っていたから、あまりにもびっくりしちゃって。

「紫さんとは、完全に目が合ったよね？」

「ふふっ。太輔くん、ウィンクしてくれたでしょ。」

「ははっ、ちゃんと気づいてくれてたならよかったよ。」

凄い……。

あんな離れた場所にいても、お互いアイコンタクトで分かり合えてたなんて。

宏くんは私に気づいたかな。

何度か目が合った気はするんだけど、もしかしたら私の勘違いかもしれないし……ってあれ？

宏くんの姿が見当たらない。

「宏くんと千賀さんは……？」

「2人はシャワー行ってるよ。もう戻ってくると思うから、こっち座ってて。」

「ありがとう、太輔くん。Aちゃん、座ろう？」

「あ、はい。お邪魔します。」

私と並んで座る紫さんは向かいに座る太ちゃんに、ライブの感想なんかを楽しそうに話していて。

私は目の前に来たニカちゃんと話をしながら宏くんが戻ってくるのを待った。

「Aちゃん、楽しかった？俺のこともちゃんと観てくれてた？」

「うん、観てたよ。ニカちゃんお腹、大丈夫？」

「きゃはっ！俺めっちゃ腹痛くて、トイレ行ったんだったわ！」

ニカちゃんはあんな出来事を忘れていたのか、思い出した瞬間、笑いだした。

「凄くびっくりしちゃった。」

「ちょっとねぇ、始まる前に差し入れの焼売食べすぎちゃって。」

「ふふっ。」

一緒になって笑っていると急に後ろから首に手が回されて、心臓が止まるかと思ったくらいびっくりした。

「もう来てたの？」

「う、うん。びっっくりしたぁ……。」

「んははっ。だって全然気付かないから、驚かせてみた。」

振り向いて宏くんの顔を確認すると、悪戯が成功したかのような無邪気な顔して笑っていて……

私の知ってる宏くんがそこにいて、安堵から泣きそうになってしまった。