ひみつな恋 ⑥ (ページ30)

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「ただいまー。」

「おかえり、宏くん。お疲れ様ぁ。」

夜の10時過ぎ。

3日分の荷物が入った小さめのスーツケースを玄関に置いて、Aちゃんに向けて両手を広げて、ぎゅーっと胸に抱きしめた。

「宏くん、北海道どうだった？」

「ん？凄い楽しかったよ。ジンギスカンもめちゃくちゃ美味かったし。でも、Aちゃんに会いたかった。」

「私も早く宏くんに会いたかった……。だから会えて嬉しい。」

そう言って背中に回されているAちゃんの手に力が込められた。

俺の独りよがりではなく、Aちゃんも同じ気持ちでいてくれたことが何より嬉しい。

「時間なかったんだけど、Aちゃんにお土産買ってきたよ。」

「えっ、ほんと？嬉しい。」

「ちょっと待ってね。」

バッグの中の一番上に置いていた紙袋を取り出して、Aちゃんへ手渡した。

「はーい。これだよ。」

「ありがとう。見てもいい？」

「大したものじゃないけど、どうぞっ。」

空港でササっと買ったのは、しろくまの缶が可愛かったクッキーと、Aちゃんが好きなキャラクターがメロンの被り物してるパッケージのお菓子とか、ボールペンとかタオルとかいくつか適当に。

横尾さんと宮っち以外のメンバーにはめっちゃ白い目で見られてたけど、気にせず買ってやったわ。

悪いか、ってね。

「きゃはっ、かわいーっ！北海道限定だぁ。こんなにいっぱいありがとう。」

「ん。俺も買ったんだぁ。ほらっ。」

「え、なに？」

「肉っ！！」

俺が買ったのは、焼くだけで食べられる味が染み込んだジンギスカン。

「美味そうじゃない？今度一緒に食べよ。」

「ふふっ、美味しそう。」

「これ、ご飯がめちゃくちゃ進むやつだから。」

「ふふっ、宏くんお肉大好きだもんね。」

Aちゃんは優しく微笑みを浮かべた。

「もうAちゃんシャワーしたの？」

「うん。」

「じゃ俺も浴びてくるかなー。出たらゆっくりしよ？Aちゃんの話、ちゃんと聞くからね。」

「うん……。」

シャワーで汗を流してさっぱりしてからリビングに入ると、Aちゃんはローテーブルに教科書とノートを広げて何やら勉強しているみたいだった。