ひみつな恋 ⑥ (ページ24)

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「Aちゃんはいつから付き合ってるの？コンサートは観に行ってるの？」

「付き合って1年半くらいなんですけど、去年は断ってしまって。今年も誘われたんですけど、まだ決断できてなくて……」

「そうだったの。やっぱりアイドルの顔してる彼氏を観るのって、メンタルやられちゃうよね。」

「はい……。心の準備が出来なくて、ちょっと怖くて。」

「Aちゃんの気持ち、凄くよくわかる。私もそうだったから。」

やっぱり紫さんも太ちゃんと付き合ってる時は、今の私と同じ心境だったんだ。

でも以前紫さんは、私は信じきれなくてダメだったと言っていたから、別れてしまったってことなんだよね……。

2人はとてもお似合いだったし、なんだか悲しいな。

「Aちゃんさえよかったらなんだけど、もし勇気が出ないなら、一緒に行かない？」

「え……。」

「私ね、彼氏が芸能人とか誰にも言えなくていつもひとりで観てたの。誰かと一緒だったら楽しめたのかなぁって思って。」

「凄く、心強いです……。どうしよう、観に行ってみようかな。」

そもそも私はアイドルやアーティストのライブ自体観に行った経験もないし、紫さんがいてくれたら勇気が出せそうな気がしてきた。

「予定の関係で横浜の日なんですけど、紫さんは大丈夫ですか？」

「たしか何日かあったよね。日にちわかったら教えて？」

「はいっ。」

早く宏くんに伝えたいな。

私がコンサートを観に行くって言ったら、宏くんはどんな顔するかな。

喜んでくれるかな……。

「私もそろそろ、次の恋に進まないとなぁ。」

「次の恋、ですか……？」

「うん。幸せな恋がしたいな。」

「あの……前の恋は、紫さんにとって幸せじゃなかったんですか？」

「幸せだったけど、どんどん有名になってデートもできないしストレスになっちゃって。それにテレビで女のコと仲良い姿とか見ると信じきれなくなっちゃって。私、独占欲強くて縛りつけたくなっちゃったの。」

紫さんはとても切なそうな表情をしながら、過去の恋愛を私に話してくれた。

「それに彼女がいるなんて言えないじゃない？だから好きな人も彼女もいないし結婚も興味ないとかって発言を見聞きすると、私の存在や未来を否定されてるみたいで苦しくて。彼の夢を応援出来なくなって、それで……逃げだしたの。」

「紫さん……」

切なそうに話す紫さんの瞳から、一筋の涙が零れた。