ひみつな恋 ⑥ (ページ20)

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「今日、楽しかった？」

「うん。ベルちゃんね、すっごい可愛くて癒されたぁ。」

「なら、よかったね。」

「うん。あとね、ドックカフェにも連れてってもらったの。」

カフェとか、すげー楽しそうじゃねえか。

散歩にカフェって、カップルじゃん。

「そこって犬と入れるとこ？」

「そう。犬用のメニューもあるんだよ。」

「へー、同伴できるだけじゃないんだ。」

「そう。それでね、私払うって言ったのにまた太ちゃんがご馳走してくれたから申し訳なくて……。」

「大丈夫だよ。藤ヶ谷、金持ちだから。」

「そういう問題じゃないよぉ。」

「俺からも礼しとくよ。」

「うん、絶対ね。」

あいつは女のコに金を払わせるタイプじゃないだろうし、そんなに気にしなくていいのに。

Aちゃんって、お金に対してほんと律儀なんだよなぁ。

俺も付き合う前にタクシー代渡したら、次会った時に領収書とお釣り返されてびっくりしたし。

付き合ってる今も必ずお釣りを返してくるし、Aちゃんには下心とかないんだろうな。

今まで女のコを飲みとか誘って遅くなってタクシー代を渡しても、社交辞令な感じで遠慮されても最後は喜んで受け取るコばかりだった。

足りないとダサいし多めに渡すけど、きっとラッキーくらいに思ってるだろうしお釣り返されたことなんて人生で一度も経験ない。

しっかりしたヒロちゃんの教えなのかなぁ……とか。

たしか俺と同い年だったっけ。

俺もちゃんと生きよ。

「今度うちの愛犬にも会う？」

「え、宏くんもわんちゃん飼ってるの？」

「うん。ポッキーって言うんだよ。」

「そうなの？知らなかったぁ。」

「もう母ちゃんにも会っちゃったし、一緒に実家会いに行く？」

「え……。」

ふふっ、固まっちゃってる。

「やだ？」

「やじゃないよ。……ただ、ちょっと……緊張しちゃうし……。」

「俺も実家に女のコ連れてくの初めてだから恥ずかしーっ！んふふっ。」

「えーそんなのもっと恥ずかしくてやだよぉ！！」

「んははっ！いいじゃん、行こうぜ。」

「……でも、この間のお礼ちゃんと言えてないから、それだけは言いたいな……。」

「じゃあ、今度時間合わせて行こうね。」

「うん……」

Aちゃんは恥ずかしそうに目を伏せると、俺の手を握った。

「ねぇ、Aちゃん。そろそろキッチンでの続きしませんか？」

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