ひみつな恋 ⑥ (ページ15)

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「大丈夫だったよ。おやすみ、Aちゃん。」

「おやすみ……」

今にも寝てしまいそうな舌足らずな声で言うAちゃんを見つめながら、暫く頭を撫でていた。

・

pipi……pipi……

「宏くん。」

「んー、Aちゃん……？」

「うん、おはよう。アラーム鳴ってるよ？」

「んう……熱はどう？」

「もう下がったよ。宏くん、ありがとう。」

眠くてずっと目を閉じたまま話していると、Aちゃんの手が俺の髪に触れた。

「起きないと、寝坊しちゃうよ？」

「あと4回なるからへーき。」

「ふふっ。そっか。」

「Aちゃん、おいで。」

「うん。」

寝起きのカスカスな声で呼べば、Aちゃんは背中に手を回して、俺の胸に顔を寄せた。

「元気になってよかった。」

「宏くんと宏くんのママのお蔭で、すっかり元気になりましたっ。」

「昨日は抱きしめて寝るのも我慢したからこのまま抱き合って寝たいなぁ。」

「私もだけど、そろそろ学校行かないと。」

「んあ？もう時間？」

「うん。午前中からなの。」

Aちゃんが起き上がるから、俺も一緒になって身体を起こした。

あぁ、もう行く支度終わってたんだ。

顔色も良さそうで安心した。

「今日のAちゃん、ワンピース？」

「うん。」

「キャミ1枚じゃなくて、その中にTシャツ着てんの？」

「ん？うん。このキャミワンピ1枚では着れないです……。」

Aちゃんは真っ白いTシャツの上に黒いキャミソールタイプのワンピースを合わせていた。

そういう重ね着が流行りなんだと思うけど、番組のゲストに来てくれるタレントさんなんかはキャミソール1枚だったり、わざと谷間が出る服を着てたりするから、Aちゃんがとても真面目に映ってみえた。

「Aちゃんは、いいコだね。」

「え、ん……？そうかな。」

「その服Aちゃんに似合ってて、凄く可愛いよ。」

「あ、ありがとう。宏くんもその寝癖、似合ってて可愛いよ？」

「んははっ、全然嬉しくないんですけどー。」

「ふふっ。」

クスクスAちゃんと笑い合って、幸せな朝が始まった。

・

もうすぐアリーナツアーが始まる。

今回は1回の収容人数が少ない分、期間も回数も多いし昔のように1日2公演の日もある。

地方で泊まりがけも多くAちゃんと会える日も減るだろうから、今はできるだけ会いたい。

未だにニカも言ってるけど、今年はAちゃん観に来てくれるかな……。