ひみつな恋 ⑥ (ページ32)

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「だって結婚して3人で暮らす訳にはいかないでしょ？私を置いてヒロちゃんが出て行くとも思えないし。だから、私が出て行くしか方法ないの。」

両親を亡くしてからヒロちゃんがAちゃんを最優先に考え、生きてきたことを知っている。

Aちゃんももうすぐ社会人になるし、自分の幸せを考えていいんだよってヒロちゃんに言いたい気持ちもわかるけど……

「だってヒロちゃんはどんな時も私を優先して生きてきたから、誰よりも幸せになって欲しいの。私が家を出れば絶対結婚するよ。」

自分がいるせいでヒロちゃんは結婚もできないと思っていたなんて知らなくて、胸が苦しくて喉が塞がったようにうまく言葉が紡げない。

「Aちゃん……」

腰に腕をまわして、小さな身体を力いっぱい抱きしめた。

そんな風に自分のことを思わないでいいんだよ。

………守ってあげたい。

俺の手で守ってあげたいし、俺の手で幸せにしてあげたいと強く思う。

「ヒロちゃん、いいって言ってくれた？」

「Aは世間知らずで心配だって。マンションの隣の部屋が空けばいいのにって言ってた。」

「んふふ。ヒロちゃんの気持ち、わかるなぁ。」

「わかるの？私って、そんなに世間知らずに見える？」

「意外と抜けてるとこあるし、騙されやすそうだし可愛いから1人にさせるのが心配なんだよ。」

「それじゃあヒロちゃんはいつになったら結婚できるの？振られちゃったらやだもん。」

今日のAちゃんはやたらと表情や仕草や声が、ひどく幼く感じる。

「じゃあ、許可降りなかったの？」

「んー……はぐらかされちゃった感じ。」

「そっかぁ……。ねえ、Aちゃん。」

「んう？」

上目遣いで俺を見つめるAちゃんに、俺も真面目に気持ちを伝えた。

「ここでさ、マジで一緒に暮らさない？」

「え……？」

「俺のこと明かしたら違う心配させちゃうかもしれないけど、信用してもらえるように努めるし。そろそろヒロちゃんに俺のこと話してもいいのかなって。Aちゃんはどう思う？やだ？」

「えぇ……急でなんて言っていいかわからないけど、宏くんとはずっと一緒にいたいし、ヒロちゃんには幸せになって欲しい……」

「大丈夫。きっと両方叶うよ、Aちゃん。」

だから安心していいよって、抱きしめているAちゃんの背中を優しく撫でた。