ひみつな恋 ⑥ (ページ18)

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「Aちゃんは決まった？」

「えっとー、私はレモンティーとガトーショコラにします。」

小さく手を挙げると店員さんがオーダーを取りに来てくれた。

「ベルちゃん、お利口さんですね。」

「ここに来ると美味しいモノが食べられるってわかってるんだよ、ベルは。」

「あーなるほどー！やっぱりワンちゃんて賢いんだぁ。」

「ベルは食い意地張ってるからねぇ。」

「ふふっ。食いしん坊なんだ。」

Aちゃんは可笑しそうに両手で口元を隠しながら笑っていた。

「あっ、そうだ！」

突然何かを思い出したかのようにバッグの中を漁って、見覚えのある可愛い袋を取り出したAちゃん。

「少し早いけど、太ちゃんお誕生日おめでとうございます！」

「え……俺の誕生日プレゼント？」

「はい。もうすぐですよね？」

まさかAちゃんが俺の誕生日を把握してくれてたなんて知らなくて、本気でびっくりした。

あー、それで俺のこと誘ってくれたのか。

「ありがとう、Aちゃん。見てもいい？」

ピンクのリボンを解いて袋を開けると、可愛らしいベルの洋服が出てきた。

「あ、このメイド服！んふふっ。めちゃ嬉しいよ。ありがとね。」

「太ちゃんがくれたのとそっくりだったから買っちゃったの。」

「ベルとAちゃんお揃いだね。ふふっ。」

あれを北山の前で着たとか、正直嫉妬する。

俺、なんであんなのあげたんだろう。

「買いに行った時、紫さんが凄く親切にしてくれて、アネラちゃんにも会ったんです。」

「あ、来てたんだ。俺も久々に会いたいなぁ。」

「色々お話して、今度会う約束もしちゃいましたっ。」

「そうなんだ。紫さんは凄くいい人だよ。」

「はいっ。」

足元で丸くなって眠ってるベルを、Aちゃんは愛おしそうな瞳をしながら見つめていた。

「太ちゃん、そろそろ時間ですよね。」

「うん。」

あぁ、もう仕事に行かなきゃいけない時間か。

「Aちゃん。今日はありがとね。」

「いえ、私の方こそベルちゃんと会えて嬉しかったし、ありがとうございました。」

「今度会うときプレゼントしてもらった服ベルに着せてくるから、楽しみにしてて！」

「はいっ。」

狡い俺は、Aちゃんにもらったプレゼントを利用して次の約束を取り付けた。

Aちゃんは北山の彼女で、どうにもならないことはわかってる。

北山から奪おうなんて考えてもいない。

だけど……どうしても会いたいと思ってしまう。