33話 ページ38
私の姿にギョッとすると眉間に皺を寄せ、真っ白なスーツの袖口を口元に持っていき、「酷い匂いですね」と睨みつけられた。
『10年ぶりの再会だっていうのにそんな顔しないでよ』
七海「10年ぶりの再会がこんな返り血だらけの姿だなんて喜べませんよ。
こんな格好で高専に何をしに?」
『さすがにこの格好で家に帰れなくてね。シャワー借りに来たの。』
健人との再会は嬉しいが、正直なところさっさとシャワーを浴びたい気持ちが勝ってしまって
足速に『じゃあ、』と去ろうとする何故か後を着いてくる。
『え、帰るんじゃないの?』
七海「帰ろうと思っていましたが 次いつ会えるかなんてわかりませんから。それに、話さなければいけないこともあります。」
『そうだね〜。次なんてないかもしれないし。最後に見た姿がこれだったりして。』
七海「またあなたは縁起でもないことを……」
深いため息をつく健人に、こっちがため息をつきたくなる。
呪術師なんていつ死んでもおかしくない職業の人間に、縁起でもない。だなんて、まるで普通に生活している非術師みたいな扱いをする人間の方が少ない。大抵は肯定も否定もせず、だ。
呪術界から離れて普通に非術師と同じ社会人として就職した健人が戻ってきたなんて聞いたから、どんな心境の変化があったのかと思えば、見たところ何もなさそう。
何も無いからこそ戻ってきたんだと思うけれど。
『というか、私と話したいことあるの?うーん、そうだなぁ……たとえば、
悠仁のこととか?』
七海「……まあ、直近だとそうですね。」
悠仁が健人とつい先日まで一緒に任務についていたことは耳にしていた。
未登録の特級呪霊との遭遇によって怪我をしたこと。
そして術式持ちの高校生が呪霊に利用され、殺されたこと。
この世界に入ったばかりの悠仁にとってきっとそれはかなり精神的に重い任務になってしまっただろう。
それを健人も気にしている。無愛想だけど、なんだかんだ優しすぎるのが彼の弱いところでもあるから。
『まあとりあえず話はシャワー浴びてから聞くよ。あ、一緒に入りたい?』
七海「ぶっ飛ばしますよ。」
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さいま - とんでもなく面白いです!!応援してます!頑張ってください (2021年8月2日 18時) (レス) id: 21de75adc5 (このIDを非表示/違反報告)
seola(プロフ) - らっかせいさん» やだ嬉しいありがとうございます(*´˘`*)頑張ります〜! (2021年6月5日 16時) (レス) id: af1403e9e5 (このIDを非表示/違反報告)
seola(プロフ) - 睡藤月さん» 諸説あるものの、現在そのように解釈されている方が多い中で、軽率な判断で生誕祭と明記してしまっていました。申し訳ございません。誕生祭に変更させて頂きます。 ご指摘ありがとうございました! (2021年6月5日 16時) (レス) id: af1403e9e5 (このIDを非表示/違反報告)
らっかせい - 凄い面白い!!更新頑張ってください!! (2021年6月5日 7時) (レス) id: ac50ef14ea (このIDを非表示/違反報告)
睡藤月(プロフ) - すいません。あまりお気になさられなくても構わないのですが、20、21、22ページの生誕祭についてなのですが…生誕祭は、亡くなった方の生まれた日をお祝いするお祭りとして使われるものなので生誕祭ではなく誕生祭になされた方がいいのではないでしょうか、? (2021年6月5日 5時) (レス) id: 9dd75bf370 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Seola | 作成日時:2020年11月11日 21時