2話 ページ2
＊
テレビから流れた司会者の声にAは天を仰いだ。
『推しがNo.3になった。おめでとう。おめでとう…………』
ぐでんとローテーブルに体重を預けながら、Aは力を振り絞って匿名のSNSに書き込む。
リアルタイムで同じ番組を見ていたのだろう。投稿にはすぐに反応が飛んできて、推しが愛されている事実にAはニヤニヤと上がる口角を下げられずにいた。自分以外誰もいないこの部屋で隠す気もないけど。
『いつか行くだろうって思ってたけどまさかこんなに速いとは』
『僕も見てたよ！おめでとう！』
『今夜は祝いじゃ！！！！！！！！！！！！』
『しんどい。つわ開いていい？誰か来れる人いる？てか来るよね』
『チキン丸さん生きてる？息してる？だいじょぶそ？』
「むり………………」
誰に言うでもなく呟き、Aは重たい頭を起こした。テレビボードには推しのマスコットが並べられており、再びAの中にむくむくと「しんどい」気持ちが芽生えてくる。
現在都内のマンションで一人暮らしをするAの部屋には、推しのグッズがみっちりと飾られている。どこを見てもだいたい推しが目に入る仕様だ。エンドレスしんどい。誰だよこんな地獄(天国)を作ったのは。おれだよ。
「チキン丸」とはオタク垢でのAのネームだ。由来？推しの好物が鶏肉であることですが何か？
この気持ちを吐き出してしまいたい欲求を押さえつけて、通話募集という甘美な響きの文字から目を逸らす。Aは立場上それに参加することができなかった。とてもかなしい。
返信をしつつ、推しの事務所のHPを開く(推しはああ見えてSNSをしていない。なんてギャップだ。推すしかない)と文書が出ていた。此度のヒーロービルボードチャートJPでは、と固い文面が最初から最後まで綴られている。
あ〜〜〜事務員さんお疲れ様ですいつも推しを支えてくれてありがとうございます………………
『この文書を推しが最終チェックしたと思うとやばい。印刷して額に入れたい』
脳死でツイートしつつ印刷機にデータを送っていると、相互から『今日も絶好調だね！』とリプライが来た。
冗談だと思っているな？本気だからな。おれはやると決めたらやる男なんだ。
さすがに額縁は家になかったので、次の休みに推しっぽいレリーフの額を探そうと予定を立てた。
限界オタクは概念グッズで盛り上がることができるのだ。
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蒼月(プロフ) - ホークスがなんで腕時計つけてるのか気になりすぎてやばいです!!良ければ短編でもいいので、厳しいかもしれませんがホークスとの絡み等の続き待ってます（; ;） (2022年10月17日 22時) (
レス) @page30 id: 371a01970c (このIDを非表示/違反報告)
緑猫(プロフ) - るぽたさん» 返信が遅れてしまい、申し訳ないです;; オタクは皆同じということですかね！！(?) 止まり気味ですが気長にお待ちいただければ幸いです！ (2022年3月16日 23時) (レス) id: dd1c3e784a (このIDを非表示/違反報告)
るぽた(プロフ) - 凄く共感できるところが沢山あってニコニコしながら拝読させて頂きました……とても面白いです(*'▽'*)応援しております！！ (2022年3月6日 17時) (レス) id: 794a8648aa (このIDを非表示/違反報告)
緑猫(プロフ) - えどさん» コメントありがとうございます！更新が止まっていて申し訳ないです…気長にお待ちいただけると幸いです;; (2022年1月28日 22時) (レス) id: dd1c3e784a (このIDを非表示/違反報告)
えど(プロフ) - 更新楽しみにしてます♪。.:＊・゜♪。.:＊・゜ (2022年1月26日 9時) (レス) id: 67d2f217ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：緑猫 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?
作成日時：2021年12月3日 22時
