夜のお散歩

＊ ページ5

-you side-





会計を済ませてコンビニを出ると
少し先に宏光の姿が見えた。




お家で待っていてくれればよかったのに…
なんて思いながら手を振る。






「先にお風呂でも入って
待っていてくれればよかったのにー」
と笑うと、
少し息を切らしながら両肩をガっと掴まれた。




そして
「こんな時間に一人で出歩くな！ばか！」
と勢いよく怒られた。







少し驚きつつ、
「心配してくれたのー？
大丈夫だよ、この距離だし！」








少し茶化したように笑うと
宏光は少し乱暴に私の腕を取って、
無言で家の方向に向いた。






…あれ？






これは…怒っているの？





「ねー…宏光？
今日は帰りが遅かったから
いつもより高いビール買ってきたよ」





「でも宏光が好きなおつまみなかったな…」






「…ねー…宏光？…


もう少しゆっくり歩いてよ…」






宏光は一度も振り返りもせず、
歩くスピードも変えず、
私の話をことごとく無視して進んでいく。







私はだんだん苛立っていた。







せっかく少しでも労いたくて
ビールを買いに行ったのに
怒られるし、無視するし、歩くの速いし…
そんなに怒られるようなことした？







モヤモヤで胸がいっぱいになったころ、
私たちは家に着いた。




･

＊→←＊

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す