夜のお散歩

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-ki side-





急に心臓の音が早くなる。





「あおい！あおい！」





バタバタと名前を呼びながら
家中のドアを開けていく。





「いない…」





誰かにさらわれた？
いや、家が荒らされた痕跡はない。



じゃあなんでいない？




焦る気持ちを抑えながら
あおいのスマホに連絡する。






プルルルル、プルルルル…






やけに長く感じる呼出音。





「…もしもしー？もう着いたー？」





呑気なあおいの声が耳に届く。





「呑気な声して“もしもしー？”じゃねーよ！
お前、今どこにいるんだよ！！」



ついつい声が大きくなる。




「今、近くのコンビニ。
ごめん、ビールなかったよね、
今すぐ買って帰るから…
そんなにぷりぷりしないで待っててよー」





子供をなだめるような言い方をして笑っている。




コンビニ？ビール？何時だと思ってんだ。

こんな時間に一人で出歩くなんて…







「俺が怒ってるのは
ビールがないからじゃねぇよ！

今から俺もコンビニ向かうから
そこで待ってろ！」





「え？すぐ帰るから家でまって…」





あおいの話を途中に通話終了のボタンを押して、
家を飛び出た。





家からコンビニまでは歩いて５分ほど。





決して遠い距離ではないものの、
街頭も人通りも少ないコンビニへの道のりを
走り抜けていく。







「チッ…
こんな夜道を一人でのこのこ歩きやがって…」





コンビニの灯りが道路を
薄っすらと明るく照らしている先に
あおいがコンビニの袋を持って、手を振っていた。




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