夜のお散歩

＊ ページ16

-F side-




「…ねぇ…太輔…？」




「…うん？なぁに？」





「さっきからずっとキスばっかり…」





「キス嫌い？」






「いや…そういうことじゃなくて……その…」







顔を赤くしているあおいに気づかないフリをして
耳たぶを噛んで、甘くささやく。






「どうしてほしいの？」







「もっと…」






「もっと…？」







反対の耳を人差し指でなぞれば、
小さな声を上げて
俺を抱きしめているあおいの腕に力が入る。





「キスだけじゃなくもっとしてほしい…」






「ハロウィンまでお楽しみは
とっておいた方がいいなかーと思って」





そのまま首に顔をうずめて首筋にキスをする。





「してくれないの？」





あおいの顔を覗くと、
しゅんとした顔で俺を見つめた。





「我慢できない？」






あおいは目を泳がせて、口を尖らせた。




「…うん。
だってずっと太輔制限してたんだもん。
もうハロウィンまで待てない 」






「そっか…





でも今日はしないよ？」






あおいは目を丸くして、あからさまに落ち込んだ。







その一連の動作が可愛くて笑いそうになるけど、
ここで笑ったら怒られそうだから、こらえる。






うなだれているあおいの顔を上げさせて、
もう一度視線を絡ませる。








「しないけど…






ちゃーんとあおいのことは
気持ちよくさせてあげるから安心して？」





言葉の意味を理解するまで
ぽかーんとしていたけど、
「えっ！？」と
急にあたふたするあおいを押し倒す。






一人で夜のお散歩したお仕置き。







俺のこと…今夜はあげない。









-Fin-

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