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普段は恥ずかしくて自分から絶対にそんなこと言わないから、この甘い誘惑に本当ならば乗ってしまいたくなるのだけれど…
少し強引にAを胸の中に抱き寄せた。
「…なんかあったんじゃねーの？
慣れない酒なんかこんなに飲んで…
嫌なことでもあった？辛いことでもあった？」
Aは無言で首を横に振る。
「なぁ…
俺はなんのためにお前と一緒にいんの？
お前の笑った顔だけじゃなく、
悲しい顔も知りたいし、
その気持ちも分け合いたいんだけど」
抱きしめていた腕の力を解いて顔を覗き込むと、
Aは涙を貯めて、唇を噛んでいる。
その唇を指でなぞる。
それを合図に涙が零れ落ちる。
「弱音なんか吐きたくない。
そんなことしてみっくんに嫌われたくない…」
「頑張らないで弱音を吐くのは好きじゃないよ？
でもちゃんと頑張ってること俺は知ってっから。
そんなお前のこと…
俺がどんなことがあっても守るから」
また抱き寄せると、声を出してAは泣き始めた。
頭を撫でて、背中をぽんぽんとする。
しばらくすると周りは静かになって、
Aの寝息が聞こえ始めた。
「ったく…煽りやがって…
今度はただじゃすまないからな…」
Aを抱きかかえ、
まつげがまだ濡れている寝顔を見ながら笑った。
-Fin-
酔っ払い -Ki- (先輩)→←酔っ払い -Ki- (彼氏)
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作者名：あおい | 作成日時：2020年11月5日 21時
