HUG ME -Ki- ページ13
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私は大きなため息をついた。
12月になった途端、
待ってました！12月！と言わんばかりに
バタバタと忙しくなって今日も居残りだ。
12月。街は一気に寒さをおびて、
恋人は寄りそうように歩き、
クリスマスムードは自然と心を踊らせる。
でも彼氏がいない私にとっての12月はただただ激務で
クリスマスなんてキリストの誕生日でしょ！？
なんで日本人がそんなにはしゃぐわけ！？
なんて可愛くないことを思っている。
「はぁ…」
ふと膝にかけていたブランケットが目に入る。
それをクルクル丸めて、
思いっきりギュッと抱きかかえた。
「疲れた！もう疲れた！！！
誰かに優しく抱きしめられて
今日も頑張ったね、
お疲れ様って言われたい！！
私だって人肌が恋しい！！
ぬくもりを感じたい！！！！」
「でっけえ独り言だな〜」
「えっ！？」
勢いよく立ち上がり、
周りをキョロキョロと見渡すと、
北山先輩がお腹を抱えて笑っていた。
「北山先輩っ！！…いつからいたんですか！？」
「１時間前くらいから？」
「戻ってきたなら声かけてくださいよ！」
「お前、眉間にしわ寄せて、
すごい形相でパソコンに向かってたから」
北山先輩は思いっきり眉間にしわを寄せて、
私のすごい形相とやらのマネをした。
確かに私はきっと殺気立って
パソコンに向かっていた。
北山先輩が戻ってきたことも気づかない程に…
終わった…
彼氏のいない女の心の声を聞かれたあげく、
ひどい顔をして仕事をしていたなんて…
そりゃ彼氏も出来ないな…
とうなだれていると、
北山先輩の足音が近づいてきて、
私の椅子を少しどかした。
「俺が抱きしめてやろうか？」
「いや、あれは別にそーゆーことじゃなくて！！
ただの心の声が漏れてしまっただけで！」
そう言っている間にも北山先輩は私に近づいてきた。
私は慌てて北山先輩の胸を押し返す。
けれど、北山先輩は私のデスクに手をついて、
いとも簡単に自分とデスクの間に私を閉じ込めた。
北山先輩は真っ直ぐに私を見つめてくるから、
この距離と視線に耐えられなくなって下を向いた。
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作者名：あおい | 作成日時：2020年11月5日 21時
