1 ページ1
今日は、なんだかツイていない日だった。
寝坊しかけて朝ごはんを食べれなかったし
数学の時間に、分からない問題を当てられて答えられなかった
極めつけには
「ご報告……。」
私の推し……好きな人の坂田さんが今日の夜「ご報告」をするのだ。
ソロアルバム?ワンマン?それとも……
彼女、とか。
いや、まさかそんなわけ。
大丈夫、多分きっとアルバムとかだよ
あとは、ほら浦島坂田船ハウス作った時みたいな!
きっとそう。だから、大丈夫
放送までにお風呂に入って、課題もやっておこうかな
不安な気持ちに蓋をして、全然違うことを考えながら家のドアを開けた。
「ただいまー。あれ、この靴誰のだろ…。」
玄関に見慣れない靴が1足。
お母さん、誰か来るって言ってたっけ。
うーんと悩んでいれば、居間の戸が開いてお母さんが出てきた。
「A、おかえり。
ちょっと今桜子の彼氏さん来てるから、早く着替えて居間に来なさいね。」
そう伝えるとさそくさと帰ってしまった。
「え お姉ちゃんの、彼氏」
いたって言ってたっけ……。あー、言ってたかも。
遅れたらお母さんに怒られるし、めんどうだから早く着替えないと。
急いで自室に向かって制服から私服に着替える。
「髪…。いつものでいっか。」
戸棚から赤色のリボンを取り出してハーフツインに結ぶ。
なんとなく、坂田さんのことがよぎったけど知らないフリをして居間に急ぐ。
「お母さん来た、よ…………。」
「あっA!ごめんね、帰ったばかりなのに呼び付けるような感じになっちゃって……。」
いきができない
「実はお姉ちゃんね、結婚するんだ。
御相手はこちらの人。優くんって言うんだ。
とっても優しいんだよ?」
うそだ
「Aちゃん、初めまして。
お姉さんの桜子とお付き合いしている、坂田優です。よろしくな」
そんなわけ
「っ、ぁ、ごめ、ちょっと部屋もどる」
私は部屋から逃げるように出て自室まで走った。
理解が追いつかない。
いや
信じたくない。
嘘に決まってる。きっと他人の空似だ。
うそだ、他人だ、そう思おうとしても私の脳が、全身が彼は坂田さんだって、
歌い手の、私の好きな人の、
あほの坂田だって言っている。
見間違えるわけないじゃないか
だって私は坂田さんが好きなんだ、恋しているんだ。
ライブだって何回行ったか分からない
「なんでっ…………。」
堪えきれず涙がこぼれた。
いくらツイていないからって
これは無いんじゃないの、神様。
7人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ももせ | 作成日時:2023年5月3日 21時