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87 - 本編 ページ27

【願い2】 五条side 左手の薬指





高専に着く前に事前に連絡をして起こしておいた硝子にAを渡す。


五条
「硝子、Aを頼む。」
「絶対に死なせるな。」


家入
「あたりまえだ。」


奥に運ばれて行くAを立ち尽くし、見てる事しか僕には出来なかった。





治療が終わり、Aは真っ白なベットに横たわっている。


家入
「出血量はだいぶ多かったが、まあ大丈夫だ。」
「腹部の傷も上手く内蔵を避けている。」
「A自身の判断が良かったみたいだ。」


五条
「そうか。」


じっとAを見ながら、硝子の報告を聞く。


家入
「五条、大丈夫だ。」
「心配しなくても数日で目が覚めるはずだ。」


五条
「心配しなくても…?」
「これが心配しなくても済むと思ってんのか?」


家入
「落ち着け、私にあたっても意味が無いだろ。」


五条
「…チッ。」


自分でもそんな事は理解している。
頭では理解しているけど、感情が追い付いていない。
どうしてもっと速くAの所へ行けなかった。
Aを守るって言ったのに。


家入
「…五条、あまり自分を責めるなよ。」


硝子はそう言って、部屋を出ていった。





ベットに横たわる彼女はピクリとも動かない。
本当に生きているのだろうか。
心配になり、Aの手に触れる。

ふと、手にあたる冷たい金属の感触。
手を見れば、左手の薬指に指輪をはめている。
また外し忘れたのかと思った。
でも確か、前に指輪を外し忘れていたAを散々弄ったら、次からは戦闘が終わった直ぐ後に指輪を外す習慣をつけていたはずだ。

故意なのか、偶然なのか。


五条
「…そんなの…わかんねぇよ…。」


ちゃんとお前の口から言ってくれ。
じゃないと……勝手に、…僕の都合のいいように解釈してしまう。

涙を流しながら、横たわるAの手をぎゅっと握った。





教えてくれ。

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作者名:mito | 作成日時:2021年1月17日 0時

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