【luz】あのさ。【歌い手】

40,心中 ページ7

そらるは体調不良がどうとかで、
お昼の前に帰ってしまった。

きっと、ショックもあるんだろうな。

そらるが恋なんて、
そんなのきっと初めてだもん。

私の知ってる限りはね。

そんな放課後。

「ねぇA、
明日さ、どっか買い物行かない？」

「買い物…うん。いいよ」

明日は土曜日か。
たまにはそんなのもいいかも。

まふと買い物なんて、
もしかしてすごく久しぶりなんじゃないか。

何だかんだ、
いつもそらるも一緒に居たから。

「まだるすくんのこと好き？」

帰り道、
まふは私にそう問った。

「……うん」

正直に言った。
まふに嘘つくとか無理だし。

傷付いたらごめん。

でも
許してくれないかな。

もう少ししたら
きっともう、諦められるから。

「だよね。
…あ、別にさ嫌いになってとか
そういうのを言いたいんじゃなくてさ…っ」

「分かってるよ」

まふはそんなこと言わないの、
分かってるに決まってんじゃん。

何年一緒にいると思ってんの。

「正直に言ってくれてありがと」

「うん」

アスファルトは湿っていて
雨でも降ったのかな、なんて空を見上げると
灰色の雲と空が広がっていた。

やっぱり降ったんだ。

全然気付かなかった。

「雨、降ったんだね」

すると、
彼も同じことを言った。

私の心の中見えてんの？

「うん」

なんて、
軽く返事をすると手を握られた。

「……あの、さ
手ぇ…繋いでもいい？」

私を見つめ、
彼はそう言った。

「…うん」

彼の細い指が、
私の指の間に入った。

いきなりこんな繋ぎ方。

まふのくせに、生意気。

なんて、
光のこと、忘れられそうだ。

今頃、
そらさんと笑ってるのかなぁ。

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