【luz】あのさ。【歌い手】

56,言葉の意味 ページ25

「えー、坂本が引っ越すことになった」

担任のそんな言葉が、
私の胸を再び締め付けた。

そらるは窓の外を見て、
まふは机に寝そべって、
そらは悲しい顔をして。

私は、
涙を堪えていた。

昨日の事。

私はまだ分からない。

ごめん、の意味。

でも、
今日明確に分かった。

もう、
担任がそう言っているんだ。

決まったんだろう。

嫌だ、と言う女子に、
中には泣いている子もいて。

こっちが泣きたいよ。

光は、今日学校に来ていなく
その彼の席が、なぜか目立っていた。

光の存在感、
そんなにあったかな。

「Aちゃん、
るすくんが引っ越すってまじ？」

朝のHRが終わると、
5〜6人の女子が群がってきた。

「…うん。
あっちに戻るんだって」

愛想笑いをする。

すると、
「やっぱり…」なんて
肩を下げる彼女達。

私の机から離れるのも、
もう言うまでもない。

私はただの、
“るすくん”と仲の良い友達だから。

「A」

最近、
呼び捨てで呼んでくれるようになったね。

「そら。おはよ」

「…うん。」

やっぱり、
そりゃ寂しいだろう。

元カレだもんね。

私もそう。

まぁ、
そらにはそらるが居るけど
私はまた独りに元通り。

親友ならいるけど。

「おはよ。
やっぱりるすくん行っちゃうんだ」

珍しく、
HRの時間に起きていたそらるが
私達の所に来てそう言った。

そらるも知ってたんだね。

「A、
るすくんなんて言ってた？」

そらるとそらは、
私が昨日、光と話したのを知っている。

内容は言ってないけど。

「…ごめんって」

あまり思い出したくない。

すると、
誰かが私を後ろから抱いた。

「るすくん行っちゃうの嫌だね」

なんて、
悲しそうにするのはまふ。

やっと揃ったのに、
また一人欠けてしまった。

いつからだろう。

私はいつから、
こんなに我が儘になったんだろう。

そらるとまふが居ればいい、なんて
今の私には考えられない。

「しょうがないよ。
私達に止める権利ないし」

なんて、
そらが呟いた。

最後に何か言いたかった。

先生によると、
もう明日には電車に乗るらしい。

泣いてないで、
今までありがとうとか言えば良かった。

ばーか。

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