【luz】あのさ。【歌い手】

35,不平等 ページ1

もしかして、
『そら』って光の元カノの？

光が私を抱き締めた、
元凶…なんて言ったら失礼か。

外はよく晴れていて
雲一つない良い天気だった。

私の心は曇天。

「る、す……？」

「そら…っ」

光は、
涙を流して彼女に抱き付いた。

幸い、
教室に煩い女子は居ない。

ねぇ、
辛いんだけど。

何で私の前で抱き合うわけ。

いつの間にか、
私も涙を流していた。

あーあ。

私何も関係ないのに。

「A、ちょっと行こ？」

「……っ」

まふに手を引かれ、
私達は人の少ない学習室に入った。

鍵開いてて良かった。

「…泣かないの」

なんて、
私の頭を優しく撫でた。

何でよ。

何でそらさんが来るの？

そらさんが来たら、
私なんかもう要らないに決まってる。

「辛いよね、ここで泣いていいよ」

なんて
私はまふの胸に飛び込んだ。

これは軽く浮気だろうか。

いや…
でも、光も同じだ。

私達もう終わりかな。

光のこと
好きになったのに。

私は特別だって
ちょっと浮かれてたのに。

こんなことになるなら
最初から付き合わなければ良かった。

好きにならなきゃ良かった。

「あの転校生さん、
るすくんの元カノ…？」

「……うん」

まふの問いかけに
私は小さく返事をした。

答えたくないけどね。

そんなの真実であってほしくない。

けど
神様は私達を平等になんてしないから。

結局は、
光とそらさんが幸せになる運命なんだ。

私は所詮負け組。

「でも…るすくん、
もうAのこと好きじゃん」

「でも…
あっちだってまだ別れたわけじゃないんだよ」

そう。

光が、
喧嘩を理由にこっちに来ただけであって
彼等は別れたりしていない。

でも、
遠く離れて別れたも同然だったから
私は光と付き合おうって決めたんだ。

なのに

もう、
ダメだ。

きっと
もう終わりなんだよね。


早すぎだよ、ばーか。

36,しょっく→

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