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耳も頭も、理解できなかった。
したくなかった。
「……っなにっ、いってっ……！！！！」
無我夢中で政道のもとへ駆け出して抱きついてた。
「ねえっ……政道までどうしちゃったの、っみんな……
みんな、おかしくなっちゃったの……っ」
そうだ。きっとみんなおかしくなっちゃったんだ。
政道にあんなに優しかった法寺さんはあんなこと言い出すし、
政道も……
「……A」
抱きついて泣きじゃくるわたしを政道は優しく抱き寄せて頭の後ろを撫でられる。
「……っぐ、っうぅ、」
「ゆっくり聞いてな」
「……っう、」
「A、俺には幸せでいてほしい…って言っただろ？
俺にとって幸せなのは____『Aと一緒にいること』」
…………は、
だからって、
「…………っだからって……っ、！
だからって、そんなの……できない！！！」
「強情ちゃんだな、ほんと」
パニックに陥って泣きじゃくるわたしを政道は落ち着いて宥める。
ねえ、どうしてそんなに落ち着いていられるの？
自分がなにを言ってるか、わかってるの？
「___ここに来たのも、」
「…」
「法寺さんを助けるのと……お前に会って、一緒になるためだったんだぜ？」
意味、わかんないよ。
ずるいよ。
「法寺さんを助けられて…よかった」
ほら、
どこまでも人間で、捜査官じゃない。
政道は。
「……むり、できない、やだよ…………」
この手で政道を……なんて、考えたくもないよ。
「……A？俺はな、」
俯いて泣いたままのわたしを抱きしめたまま、政道が言った。
「Aと過ごしたあの一週間、幸せだったよ」
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作者名：惰 | 作成日時：2023年7月21日 23時
