この手、ぎゅっとつないで (ページ14)

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それからAは毎日のように俺のとこに来て、色んなことを教えた。

会って話すうちにだんだん打ち解けてくれたみたいで、人懐っこいAを妹みたいに可愛がってた。

真戸へのコンプレックス、届かない差に毎日悩んでたけど、
Aの屈託ない笑顔を見るとそれはすごく柔らいだ気がした。

俺が正式に捜査官に任命された日。

「政道、おめでとー！」

いつものふにゃってした笑顔でまるで自分のことかのように喜んでくれた。

「A…ありがとな
俺も晴れて捜査官だよ」

たぶん、Aの存在がなければここまで来れなかった。
それくらいにAは、俺にとって大きな存在だった。

そこにいてくれるだけで幸せになれたから。

「A…ほんとうにうれしいよ
毎日たくさん勉強してたもんね」

「ほんと、お前の存在に救われたよ」

「へ、Aなにもしてないよ？」

「知らなくていーんだよ」と軽くデコピンしてやった。

むう、と拗ねるA。本当に妹がもう1人出来たみたいだった。

「……いつか、」

「？」

「いつかAも、政道みたいにかっこいい捜査官になるから」

Aの瞳の奥には、確かな“決意”が静かに灯っていた。

「____おう、待ってるぞ」

「そしたら政道と毎日いっしょだね」

「はは、そーだな」

A、俺を救ってくれてありがとな。