この手、ぎゅっとつないで (ページ12)

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ぼくときみの罪と罰ページ12

Aは俺にとっての光だった。

「……A」

はじめて名前を聞いたのはアカデミー生の時。
俺もAもまだ子どもだった。

「政道、ちょっといい？」

「あ、有馬さんっ！なんすか……？」

特別講師として有馬サンの講義を受けた帰り際。

「俺、このあと教授の方々と話をしなくちゃいけなくて。

……ほら、でておいで」

「…？」

なんの事かわからず？マークを浮かべていたら、彼の後ろからそいつは恥ずかしそうに現れた。

明るくてさらさらの髪、赤い瞳、白い肌。

「(人形みてー…こども、だよな)」

率直にそんな事を思ってしまった。

「この子、Aって言うんだ。訳あって一緒に住んでて連れてきたんだけど、俺の用事が終わるまで一緒にいてあげてくれないかな」

「「……！」」

多分俺とAが驚いた意味は違った。

有馬サンの身内のお守りを任されてびっくりした俺と、
たぶん知らない男と一緒にいる事にびっくりしたA。

「生徒たちを見るにきっと一番優しいのは政道だと思ったんだ、きみなら安心してAを任せる事ができると思う」

えぐいプレッシャーだった。いや、本人はそんなつもりないんだろうけど。

「っは、はいぃ！任せてくださいっ！」

見栄張った返事のつもりが上ずった声になってしまった。

「じゃあ。よろしくね
A？いい子にしてるんだよ」

Aは目を見開いて有馬サンに助けを求めてた…ような気がした。