君がいるから 4 ページ14
咄嗟のことで、答えられない。
劇団員の皆がいて、演劇をして、誰もがもっといい舞台をと上を目指していて…
仲間っていう存在が大きいのはわかる。
でも、そこに私は入っているのだろうか…
万里｢…その答え、皆から聞いてみたらいいんじゃね？｣
『…え？皆？』
固まる私をニヤリと見つめながら、ドアを開ける。
すると数人が部屋へ雪崩のように入ってくる。
訳がわからず、戸惑う私と苦笑する至さん。
皆の顔を見れば、困ったように眉を下げたあと、次々に言葉を紡いでいく。
『ど、どうして皆が…？』
一成｢監督ちゃん。…俺、興味本位で劇団入ったけど、今はお芝居が大事だし、楽しいし、大好きだよ！そうしてくれたのは、監督ちゃんのお陰！｣
丞｢監督がいなかったら、俺はもう舞台には立てていなかっただろう。｣
紬｢監督がもう一度舞台に立たせてくれて、演劇の楽しさを教えてくれたんです。だから、そんな言葉に惑わされなくていいんですよ。｣
左京｢お前がここの総監督だ。お前以外、この個性派軍団を纏められる奴はいない。｣
臣｢監督がいるから、ここに残っているやつだって沢山いるぞ。｣
万里｢そういうこと。俺たちの監督は、Aじゃなきゃ意味ないの。｣
至｢…胸張ってていいんだよ。俺たちは、監督さんだからここにいて、演劇楽しんでるんだから。｣
一成｢寧ろいてくれなきゃ困るから！ね、監督ちゃん！｣
『っ……』
ポロポロと、先程とは違う涙が瞳から零れ落ちる。
きっと、最初から全部聞いていたんだ。
私を心配してくれてて、傍で見守ってくれていた……
何て温かい人たちなんだろう。
私が心配していたことが、ちっぽけに思えた。
『ごめんね、皆。ありがとう。』
左京｢何かあったら俺たちがお前を守る。だから、遠慮せずに言え。いいな？A。｣
『はい、ありがとうございます。』
万里｢また落ち込むことあったら、また傍にいてやるよ。｣
至｢万里だけにいい格好はさせないけどな。｣
紬｢ふふ、抜け駆けは駄目だからね。｣
丞｢おい、部屋に戻るぞ。そろそろ寝ないと明日の稽古に響く。｣
臣｢そうですね。監督、また何かあったら声かけてくれよ。おやすみ。｣
『本当にありがとう。おやすみなさい。』
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作者名：宇宙 | 作成日時：2018年6月29日 11時
