ただ愛する仲 Ⅳ【Hikaru.I】 (ページ25)

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照 side

全速力で街を駆け抜ける。

照「はぁっ…ここで、なにしてんだよ」

『…なんで、』

さっきぶりの彼女の姿。

父親の店の前でうずくまっているから
その体に着ていた上着をかける。

『会いたいって思ってたら本当に来てくれた…
　不思議、なんでここが分かったの？』

照「て、テレパシー。会いたがってるかなって。」

『ふふ…、すごい。』

まぁそんなのは嘘だ。
彼女の父さんから連絡があっただけ。

照「寒いから中入っとけば良かったのに」

『…入りたくない』

照「じゃあ違う場所、また風邪引くから」

裸足のAをおぶって、来た道を戻る。

小さい彼女は最初こそばたついていたものの
今じゃ居心地良さそうに話してる。

『はぁ、いい匂い…照の匂い好き』

照「汗臭いだろ」

『照の汗の匂いは誰とも違って好きなの』

照「変わった好みだな
　そんなの俺にべた惚れじゃん」

『うん…今日は帰らない、帰りたくない』

照「…じゃあ帰んなよ。一緒に居よう」

中々照れる会話をしている。
不謹慎だけど、少し嬉しく思った。

『私ね、…自分がだいっきらい
　全部から逃げちゃいたいよ…』

そう言う君には、こんな言葉をやるよ。

照「俺がもっと愛してやる、一緒に逃げるか？」

どこがいい？なんて聞くと
逃げたことないから分からない、だって。

俺はどこにでも着いていくから。

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大「この状況とは！？」

照「ここにでも来なきゃ、本当に俺
　こいつ連れてどこか逃げそうだった。」

大「とりあえず寝かせて！」

ベッドに降ろしてやると、幼稚な寝顔が見える。
こんな顔で俺の背中に乗ってたんだ…

大「で、何があったのさ」

照「いや、親父さんに頼まれただけで
　何があったかまでは知らねぇ。」

大「ま〜た1人で何を溜め込んだんだよぉ…」

照「あとは頼む」

大「え、帰んの！？」

…こっちはそのつもりだったけれど
こいつは違うらしい。

慌てて準備をし始めた。

大「俺ちょ〜〜っと出かけるんだよね！
　起きるまで側に居てあげてよ。
　起きてから会いたいと思うのは照だと思うし」

よく出来た友達だ。
ウインクなんてしちゃって、お節介。

彼女のぷにぷにほっぺを一撫でして庭に出た。

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