ただ愛する仲 Ⅳ【Hikaru.I】 (ページ18)

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照 side

…電話に出ない。
アイスを買って家にまで来たのに。

仕方がないから玄関のインターホンを鳴らそうとする。

よぎったのは自分を全く歓迎していない
彼女のお母さんの姿。

…追い出されるに決まってる。

思い立ったが吉日。
筋肉しか自信がないんだからここで発揮しようか。

『っわ！何してんの…！？』

壁の排管を伝って登っていくと窓が開く。
どうやら音が聞こえたようで、不審者に間違われた。

『あぶないよ…！？』

照「あ、アイスを…」

『しーっ！』

部屋の鍵を閉めた彼女。
きっとお母さんにバレるのを防ぐため。

『何の用…！？』

照「だからアイスを…
　窓に掛けてかっこよく去る予定だったのに」

『ふふっ…そういう事ね』

結局笑い合うと、外からドアノブを回す音。

母「ちょっとー？」

『「！？」』

窓から脱出を試みようとすると、
危ないから！と彼女が許してくれなかった。

照「じゃあどうしろって…！？」

『布団、布団に隠れて！早くっ…！』

まるで修学旅行だ。
先生に見つからないように隠れるのって
こんな気分なのか…。

『うとうとしてたぁ〜』

母「何で鍵なんてかけたの？」

…音的に入ってきたな。
必死にAがすっとぼけてるのが可愛い。

『鍵かかってた？』

母「もう、驚かさないでよ。
　顔が真っ赤じゃない！」

『暖房が効きすぎてるの！』

母「はい、生姜湯。飲んで寝て」

『…っあつい！！』

自分が猫舌なのも忘れてるし。

母「電気消してあげるから、布団入んなさい」

ぺたぺた、と裸足で歩く音がこっちに近づく。
…嘘だろ？おい、まじか。

隣に彼女の足が入ってくる。

母「おやすみ」

『おやすみ。
　 ……出ていいよっ！！』

出れる訳ねぇだろ。
もはや半殺しだ、赤い顔を晒すなんて。

『…ねぇ』

布団をめくってきた彼女の顔は
もう、すぐ近くにある。

離れようとするから頭を抑えて柔らかい唇にキスを。

『…！』

慌てて口を塞ぐから吐きそうなのか、と不安になる。

照「なに、なに？」

『風邪が移っちゃう…！』

…この場に及んでも俺の心配かよ。
そとっと手を外し、もう1度唇を落とす。

『う、うつるってば…』

照「…移せよ、全部貰ってやる」

君の全てを貰えるなら、本望だ。
…次の日本当に熱を貰うなんてな。

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