ずるい Part2 (ページ4)

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私のこと好き？過去編ページ4

『謙ちゃんてね帰り何聴いてるの？』

いつもバイバイした後に謙ちゃんはすぐに耳にイヤホンを入れる
それはいつもいつもで振り返ったことなんてない

初めて人を好きになって
初めて恋をした
初めてキスをしたのも謙ちゃんだ
でも気づいたのは
謙ちゃんの中には私じゃない誰かが存在してるということ

「え？色々だよ？
俺暇だとすぐ音楽聴くからさ」

目尻にしわを寄せながらふんわり笑ってみせた

『そっか～』

謙ちゃんの褒めてくれた髪色は月1でカラーしないとすぐに抜けるし
髪もだいぶ傷んできた
わりと色は私に定着してきて馴染んできたけど
謙ちゃんが居て私がいるみたいに
謙ちゃんが隣に居ることは当たり前になってた
想いはこの時からきっと一方通行で日に日に増していったんだ

私の中で謙ちゃんは絶対的な存在になっていただけなのに

謙ちゃんの中でも私は絶対的な存在になっていると勘違いしてたんだ

でもそれは違ってた

放課後階段を登ろうとして足を止めた

「お前ほんとにあいつのこと忘れたの？」

ん？さなぴー？
聞いてはいけない会話が聞こえた気がした

「忘れるわけないじゃん分かってるくせに
さなぴーって意地悪だよね」

謙ちゃんの声がして心臓はどくどくと音を立てた

「Aちゃん傷つけんなよ」

さなぴーがため息混じりにそう言ったのを確認し背を向けてゆっくり階段を下りたんだ

ねえ謙ちゃん？

私のこと好きだよね？