隅っこの彼2 (ページ42)

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なんで？ページ42

「A？」

ロビーの隅には美勇人が座っていて手招きしながら呼んでいる
足速に美勇人に近寄り隣に座る

「どーしたの？」

「Aと少し話したくて」

照れ臭そうに笑った
そっからは美勇人の心地よいペースでお話は進んだし
私が気にしてたのなんかあっという間にどっかに消えちゃったくらい
話しは盛り上がったし楽しかった
もうそろそろ戻ろうってなり部屋へ向かいバイバイする時美勇人は私をギュッと引き寄せた

「ちょっとだけ」

そう言う美勇人はやっぱり大人っぽくて落ち着いていて
私だけ動揺してるみたいで

「美勇人大きいね」

笑ってみせたんだ

「そう？それ褒めてるなら俺超嬉しけど」

なんてまた大人っぽく笑った美勇人は私から離れて
また明日ねって背を向けた

なんでそんな大人なの？
なんでそんな優しくするの？
なんでそんな目で見るの？

だってやっぱり
私がほっくんを見る目とおんなじなんだもん

美勇人の気持ちに気付かないふりをして

美勇人の背中が見えなくなるまで見送って

騒がしい胸を落ち着かせて私も部屋へ戻った

なんとなくそんな気がしてて
トイレに入ってやっぱりかとうなだれた
よりによって女の子の日と被るだなんてましてや初日だなんて
最悪だ温泉は諦めようシャワーの方がいいもん
この時ばかりはパンパンのリュックにありとあらゆるものを詰め込んだ自分を心の底から褒めた

「行かねーの温泉？」

トランプをしながら樹が聞く

「温泉きらいなの」

「いや、お前さっきまで温泉温泉行ってたじゃん」

「さっき嫌いになった」

「はあ？意味不明？あ、時間だ！温泉行こ！
北斗行くぞ！お前本当に行かないんだな？」

困った顔で樹は私の顔を覗き込む

「嫌いになったから行かない」

そう答えた私に樹はとうとう本当におかしくなった
なんて言いながら温泉に行く準備を完了させていて

「樹すぐ行くから先行ってて」

ほっくんは樹にそう声をかけて樹ははいよー
って手をヒラヒラさせて出て行った

その後すぐほっくんは私の座ってる向かいに移動してきたんだ