僕等の居場所 (ページ23)

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それから少ししてコーイチ君が帰ってきた。
4「おっせーよコーイチ。」
2「おいちゃんまたなんか食べてたの？？この後ラーメン誘おうとしてたのに！ラーメン食べられなくなっちゃうじゃん！」

1「おん。」
あからさまに不機嫌。というか、元気がなくてどこか苦しげ。

「、、。じゃあもっかいレコーディング始めよ！コーイチ君も準備して！」
1「。。」
「じゃあさっきの部分から」

♪～
レコーディングに立ち会うとコーイチ君、タカシ君の歌い方の特徴とかも分かるようになってきて、オーディションの時よりも遥かに2人とも上達していた。歌い方もだけど2人は性格もバラバラで、周りからしてみればアンバランスな2人なんじゃないかって思うほど。でもアンバランスな2人だからこそ、お互いのマイナスな部分でさえもいい方向に持っていける。

コーイチはこう歌ってっていうほどどんどんダメな方向にいく。タカシ君とは逆。
きっとコーイチ君は感覚で歌っているんだと思う。感性なのか、考えるより先に歌に出ちゃう、そんな感じ。だから上手くいかないととことん上手くいかない。
1「。。。」
「、、もっかいやろう！コーイチ君！さっきの部分もっと力抜いてうたっていいよ、楽に、今の歌い方だと力み過ぎてて、、

1「わかっとるねん、」
「え？、、」
1「わかってるゆってんねん、いちいちぐちぐち言わんといてくれる？？？音楽のこと楽に勉強もしてないやつがいちいち突っかかってくんなや、」

1「ほんなぐちぐちゆうなら、俺たちが有名になるような曲でも作ってから言え、何もできないくせに、全部わかったふりして、俺たちと仲間みたいな面されるんいっちばんムカつくんや、」
4「ちょっと、お前さすがに言い過ぎじゃねーの？いきなり何。」

1「いきなりやないわ、ずっと思っとったことや。
こっちは自分の居場所必死になってさがしとんのに、、」

私は何も言えないままその場から動くことができなかった。
コーイチ君がなんでここまでイライラしていたのか分からない。でも分かっていたつもりだったんだ。
初めから、オーディションのとき初めてコーイチ君の歌を聴いた時から、
きっと私と同じように自分の居場所を必死に探しているって。だから勝手に私とコーイチ君は同じだって思ってしまった。だから分かってたつもりだったんだ。1人の辛さ、誰にも認めてもらえない苦しさ、でもまだ全然、私はコーイチ君のこと何も分かっていなかった。