ネージュに染まれ (ページ31)

今日:1 hit、昨日:43 hit、合計:1,845,835 hit

泡のようには消えないページ31

経った数週間でこんなにも見られたくないものを見られるものなのか

経った数週間でこんなにも触れられるものなのか？

経った数週間で？こんな私が？

私どうしちゃったんだろ

でもそれが嫌じゃないと思う自分が一番分からなくて

分からないままこの環境へ馴染むんだ

何年何十年って私は真っ暗で真っ黒だったくせに

でもその時間は決して消えることはない

渡「こっちの方が良くない？」

『そうかな？』

向「うん似合いそうやけど」

『そう？』

翔太と康二に挟まれながらスマホに映る新作のワンピースを3人で覗き込む

渡「なに？もうひとつの方勧めて欲しかった？やりなおす？」

向「ああ～なるほど」

『いや、違う違う違う。ん？違うくないかも』

渡「でたよ。なら聞くなよほんと...って」

向「あっ」

うん

そうかもしれない

相談する時には基本的女子は答えが決まってて

答えを答えて欲しい方に誘導するのが女子だもん

画面の上部に新着メッセージが照らされて

短めのメッセージは3回リズムよく切り替わったんだ

翔太も康二もそれを黙って見つめてて

同じく私も

私が生きてきた世界はそこに存在して

やっぱ消えることはない

『やっぱ翔太と康二がいいっていった方買おうっと』

メッセージを見て見ぬ振りをして立ち上がったんだ

大我【ごめんA】

大我【もう好きなんて言わないから】

大我【もう困らせたりしないからお願い許して】

次から通知は切っておこうと思いながら購入ボタンを押したんだ