仮面を取った顔 ページ23
．
「具合わるいの？」
「…はい」
「…そっか。大丈夫？」
「…はい」
「……あの、さ」
「サボりですか？」
「…うん」
「珍しいですね」
「うん…」
「……彼女、つくらないんですか…？」
「…あれは、」
「分かってても、ちょっと悲しんでる自分が嫌です」
俺は慣れた返事だったけど、さっきの光景を初めて見た彼女はこんな顔するんだって罪悪感に襲われる
「思ってた以上に…先輩の事…好きだって、気付いて…最近つらくて」
寝ていた体を起こして、しっかり俺を見て
「こんな事言って、ごめんなさい」
謝る事なんてないのに
同じくベッドに座って距離が近くなると、肩を抱き寄せてやっと体温を感じられる
メガネをとれば見上げてきて、嬉しそうに笑ってくれた
優しく口づけして伝える。
「もっと、好きになってくれていいよ」
君からの愛ならなんでも歓迎する。
「嫉妬してくれるのも、全部、受け止めるから」
「…絶対うざくなりますよ」
「ならないよ。嬉しいもん」
「…嘘だぁ」
「俺なんか、いつも妬いてんだからな」
「ふふふ(笑)」
「全部受け入れるから」
「…はい」
「つーか、もっと好きになって」
この時の俺は、君の愛が欲しくてたまらなかった
「もっと、俺の事、好きになって欲しい」
欲張りかもしれないけど、もっともっと愛して欲しくて、もっともっと愛したい。
しばらく抱き合っているとチャイムの音が鳴って、足音や雑音が聞こえはじめて
メガネを渡されて手を振って見送られた。
仮面を被った自分に戻される…
だけど、さっきより気持ちが楽で…自分がどんだけこいつに依存してるか思い知って笑えた
「翔くんどこ行ってたのぉ〜？」
「先生に呼ばれてた」
「待ってたのに〜」
「ごめんごめん」
うん。さっきよりはうまく笑えている
だけど、自分の事ばかりだった俺は、彼女の本当の言葉の意味を分かることが出来なかったんだ。
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作者名：suzu | 作成日時：2019年8月1日 19時
