11 名前だけの家族 ページ11
・
ママは突然いなくなった。
急性白血病が発覚して７日後に。見つかった時には既に手遅れ状態だったらしい。
それから１年を過ぎた、中３の夏。
父親が一人の女性と、小学６年だという男の子と女の子の双子を連れて家に帰ってきた。
『A、パパはこの人と再婚しようと思う。
Aも今年は受験で大変だろうし、その方が家の事を心配しなくて済むだろう？』
そんな大義名分と共に。
聞けば、その女性が連れていた双子は父親の子だという。
認知もしてあって、正式にパパの子だと。
私とはいわゆる異母姉弟。
つまりこの女はもともとパパの愛人で？
ママと私がいるにも関わらず子供まで産ませて？
ママが死んで、そろそろほとぼりも冷めたろうから堂々と私の前に現れて子連れ結婚するって事？
それを知った瞬間、父親への信頼が失われた。
『どうせ反対したってするんでしょ？
１０年以上も私たちを裏切っておいて、今更何を訊くの？』
そのすぐ後、秋口に籍を入れた二人は揃って私の機嫌を取るようにあれこれ構ってきたけれど
私はその全てを突っぱねた。
『私の受験を考えての再婚なんでしょう？
だったら集中させて』
そういえば何も言わずに引き下がった二人。
そんなに後ろめたいなら、最初からしなければいいじゃない。
ママがの最期の言葉は、『パパを、ゆるしてね』。
あの時は、何のことか分からなかった。
パパに聞いても、曖昧に首を傾げるばかりで。
今なら分かる。
ママは、全部知ってたんだ。
その上であんなことを。
・・・ママは、最期までパパを想ってた。
だからこそ、私は赦せない。
ママが死んだ時、パパは泣かなかった。
少なくとも私の前では。
あの人がいたから、返って好都合だった？
そんな事まで考えて、家族に対して嫌悪感でいっぱいになった。
高校に入ると同時に一人暮らしをすると言った私に、二人は反対しなかった。
黙ってワンルームのマンションを準備し、
高校３年分、いや、大学の分以上もあるかもしれない生活費という名目の大きな金額を
私名義の口座に振り込んで、必要不可欠な時以外の連絡はしない。
それでも時々くる継母からのメール。
『たまには一緒にご飯を食べましょう？
好きなものを作るから』
それにはいつも同じ返事を返す。
『私は遠慮させて頂きます。皆さんで楽しんで下さい』
私は、あの人達を家族とは思えない。
あの人の料理なんか、食べたくない。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1159人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
seiran(プロフ) - nemuさん» nemuさん、こんにちは♪まさかの他メンバー(笑)お話の中に全員の名前を出してる以上出さないとって事で(笑)あとは大野くんもそうしてるけど多少強引にいかないと彼女のネガティブはどうにもならないかなと。おかげで次章はわちゃわちゃからです☆宜しくお願い致します♪ (2017年5月15日 9時) (
レス) id: 97bddcb896 (このIDを非表示/違反報告)
nemu(プロフ) - 青藍さんこんにちは。度々すみませんm(__)m。いよいよ大野君が動くかと思えばまさかの他のメンバーが！二宮君以外は出てこないと思っていたのでびっくりです。宮本ちゃんが苦手なきらびやかな集団ですよね。彼らと関わって彼女がどう変わるのか。２章も楽しみにしてます(^-^) (2017年5月14日 16時) (携帯から) (レス) id: 3d385178b8 (このIDを非表示/違反報告)
seiran(プロフ) - nemuさん» nemuさん、こんにちは♪いつもお付き合いありがとうございます。ちょっと気を抜くとネガティブ思考に陥る主人公ちゃんなので尚更怖いっていう感情が強く出てしまうんでしょうね。大野くんがどう引っ張り上げてくれるのか。見守ってて下さいね(^^) (2017年5月8日 14時) (レス) id: 4fb1eaadc8 (このIDを非表示/違反報告)
nemu(プロフ) - 青藍さんこんばんは。更新ありがとうございます。ふたりとも本当に可愛いですね。嫌われるのが怖いって気持ちは凄くわかります。やり取りがいちいち甘酸っぱくてもう(笑)続きを楽しみにしています(^-^) (2017年5月5日 22時) (携帯から) (レス) id: 3d385178b8 (このIDを非表示/違反報告)
seiran(プロフ) - nemuさん» nemuさん、こんにちは！オバチャンが頑張って可愛い高校生を書いております(笑)お話はね、主人公ちゃんがネガティブで引っ込み思案な分、切っ掛け後は大野くんに少し引っ張ってもらわないと。男の子だし(*^^*)『はじまり』やっとです(笑)いつもありがとうございます♪ (2017年4月12日 9時) (レス) id: 97bddcb896 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：青藍(せいらん)
作成日時：2017年1月27日 15時
