月に寝転んで (ページ5)

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いつか（緑）ページ5

お手伝いさんをやる気なんて、全然無かった。
このまま家に引きこもって、それでいつか死ぬんだろうなと、漠然と思っていた。

ただ食べて、寝て、在宅でできる仕事をちょっとして。
死ぬまでの日々を消費する。

そんなニートめいた生活を送る俺にも、ふっかは定期的に連絡をくれていた。
『お花見する？』とか『今度スイカ食べよー』とか、そんなあったかいメッセージ。

ある時届いたのは、いつもとは一風変わった言葉だった。
『阿部ちゃん、助けてほしい。』

ふっかが俺にお願い事をするなんて、後にも先にもこれだけだった。いつも良くしてくれているふっかの頼みを無碍にするわけにもいかなくて、話を聞くために会うことになった。

久しぶりに対面するふっかは前と変わらず、すごく優しい目をしていた。

「阿部ちゃん、久しぶり。」
「久しぶり。」
「ありがとね、話聞いてくれて。」

しばらくは近況報告(とは言っても引きこもりの俺は別段話すことがない)をして、ようやく本題に入った。
そういう気遣いがふっからしいなと思う。

「俺のね、従兄弟。
大介って言うんだけど、ちょっと厄介な病気をもっててね。」

そこでふっかから聞かされた病気は、国の指定難病にも登録されている、珍しい遺伝病のひとつだった。
彼は中でも症状の重い群に分類され、小さい頃から制限の多い生活を送っていたらしい。