｢もしその方法をするんなら声掛けは大先生で殴り合いはシャオロン担当かな｣ ページ43
｢…こちらトントン。今から帰還します｣
『…ええんかトントン。』
｢時間的に探しにくいし、明日改めて捜索をすればええ。ついでに情報共有や｣
『わかった。』
ぷつり、と通信が切れる音とともにてをダランと落とした。踵を返して森の外に出る。もう夕暮れを通り越して星が見え始めている。無闇に松明持って森の中を捜索すれば火災が起きそうだ。
エーミールが乗って帰ってきたと言われる『車』と呼ばれる鉄製の乗り物(ボコボコだったらしい)に乗り、ガラス越しの風景を見ながらふと思う
そういえばシッマはどこか様子がおかしかったなあ。なんか他人行儀みたいな…
そこで気づく、もしかして記憶喪失ではないか？と
あの時の戦況としてはとても接戦だった。双方とも1歩もあとを引かないという状況で前衛部隊が孤立してしまった。その時隊長を務めていたコネシマは1人状況を打破すべく森の中に大勢の敵兵を集めて消えた。その間にどうにかシャオロン隊がコネシマの部隊と合流を果たし、押し返したがその時に通信が切れたとロボロが焦ったように連絡を入れていた。
そうしてゾムの部隊を鬱に任せ、ゾムにはコネシマの捜索を頼んだ。そして見つけ出されたのは酷く似ている偽物の死体だった。
普通記憶喪失なら死体偽装という手段は取らないのでは？と思った時、そこに第三者が居たと考えよう。記憶を失って途方に暮れていた時に助けてくれる第三者という存在が身を軽くしてくれるだろう。
運が悪ければその人に依存して指示通りに従っている可能性もある。それはヤバい。
｢早く見つけだして目を覚まさせないと…｣
記憶喪失相手をどうやって覚まさせるかは謎だが大先生なら｢こういう展開の場合は殴り合いとか声掛けで思い出すケースがあるんよ｣なんて夢物語でしかない方法を紹介するんだろうなぁ…
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作者名：夢見るサーモン | 作成日時：2020年3月7日 21時
