その涙を見ない為に (4) ページ24
ルーシィを渡せと言ってくるジョゼ。
「ふざけんな！！」
「仲間を渡すギルドがどこにある！！」
もちろん妖精の尻尾はそんな話を承諾するはずがない。それでもルーシィは、ギルドを愛しているが故に、体を震えさせながらもジョゼの元へ向かおうとする。ボロボロの状態の今の妖精の尻尾を救う最善の策だと自分自身に言い聞かせて。
そんな時ー
「仲間を売るくらいなら死んだ方がマシだっ！」
『死んでもルーシィは渡さないっ！』
傷だらけのエルザとAが、力を振り絞り大声で叫んだ。その言葉に触発され、周りの仲間達も声をあげる。ナツ、エルザをはじめとする仲間達の力強い言葉に、ルーシィは口を押さえて涙を流すばかりだった。
《ならば特大のジュピターをくらわせてやる！装填までの15分恐怖の中であがけ！》
怒り狂ったジョゼには通信を切られ、同時にエルザは力尽きて意識を失ってしまう。
ジュピターを撃たれたら次こそギルドは跡形もなく消されてしまうだろう。私一人じゃ防ぎきれるものじゃない。どうしよう……。
そんな中、さらに悪いことにファントムから大量の幽兵が放たれる。この幽兵はジョゼの魔法で生み出されたもの、ただの人形にジュピターを撃ち込もうと何ら問題はないということか。
ジョゼは間違いなく、本気で妖精の尻尾を消すつもりだ！
「ジュピターを何とかしないとね…」
「俺がぶっ壊してくる！15分だろ？オレがやってやる！！」
どうしようと戸惑い、慌て戸惑いふためく空気の中、力強い声でそう言うのはナツだった。
また私の頭にポンっと手を乗せたあと、ハッピーに掴まり、彼はあっという間にファントムのギルドに乗り込んでいく。
「俺達も乗り込むぞ、エルフマン！！｣
「おっしゃー！！」
グレイとエルフマンもその後を追う。
『ミラ、エルザとルーシィをお願いね』
「Aも酷い怪我なんだから中に！」
『私は、まだ戦える』
迷っている暇はない。戦うしか、ギルドを守る方法はない。
私は空を見上げて目を閉じる。
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作者名：セイ | 作成日時：2019年4月16日 22時
