◇第三百四十章◇ ページ48
沖田「俺にはね、一人姉がいたんでさァ。けど、あの人は病でもう、この世にはいない…」
貴方「お姉さん…?」
そうか。
沖田くんにも、ちゃんと家族が居たのか。
そりゃそうだよな。
当たり前だ。
沖田「俺ァ、Aさんの事…本当の姉貴みたいに思ってるんですよ…」
驚いた。
沖田くんが、私の事を姉のように思ってくれていただなんて…。
嬉しい。
沖田「だから、もうあの人みたいに、俺の前からいなくならないでくだせェ…お願いしやす…」
今にも泣きそうなその声に、私は気付かされた。
ゴメンね、沖田くん。
貴方「ありがとう」
クルッと後ろを向き、私より身長の大きい沖田くんの頭を撫でてやると、必死に涙を流すまいと堪えた顔をした。
貴方「泣いて良いんだよ?」
沖田「だ…れが…」
沖田くんのお姉さん、どんな人だったんだろう。
きっと美人さんだったんだろうな。
性格もきっと、優しい人。
だって、こんなにも沖田くんが大切に思っているのだから。
貴方「大切な人がいるって、とっても良い事なんだよ…。沖田くんは幸せ者だね」
笑ってみせると、沖田くんの目から涙が溢れ出てきた。
沖田「はい…っ…」
抱きしめてやると、抱きしめ返してくれた。
そうだよ。
大切な人がいるって、とっても幸せな事。
皆皆、幸せ者だよ。
暫くして泣き止んだ沖田くんは、私と目を合わせてくれなかった。
きっと、泣き顔なんて見せたくなかったのだろう。
目をゴシゴシと擦り、涙を拭き取ってこちらへと視線を移した。
沖田「すいやせん…取り乱しやした」
貴方「何言ってんのさー。私は、沖田くんの姉代わりでしょ?」
沖田「…そうでしたね」
二ヒヒと笑い合い、部屋から出て、皆の所へと戻った。
誰だって、心には闇を抱えてるものだ。
何一つ苦しまずに生きてきた人なんて、一人もいないだろう。
でも、江戸に住まう人々の闇は、普通とは違う。
仲間を失ったり、或いは仲間さえも自分の手で消し去ったりした者もいるだろう。
親を失い途方に暮れた者もいる。
護りたい者を護れず、それでも未だに足掻いてる奴だって…
江戸とは、そういう物だ。
だからこそ、人望が厚いのかな。
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幽子 - 私は腐女子なんで、すごく共感します。この小説好きです! (2016年2月14日 16時) (レス) id: c123744630 (このIDを非表示/違反報告)
ちーず(プロフ) - きゃぁぁぁぁぁぁ!!!!銀さんっ!!!!!せつないですね・・・・更新頑張ってください! (2015年10月27日 16時) (レス) id: 64cd32f392 (このIDを非表示/違反報告)
葉月(プロフ) - 続きがきになって眠れません。更新頑張って下さい (2015年10月27日 13時) (レス) id: a317f5304b (このIDを非表示/違反報告)
銀時大好き - とってもおもしろいですね!続きをとても楽しみです。これからもがんばってください応援しています! (2015年10月19日 9時) (レス) id: fb076ef916 (このIDを非表示/違反報告)
雪羅 - とても面白いです!ところで第百五十章がありません。細かい所気にしてしまい申し訳ありません!更新頑張ってください。 (2015年10月16日 23時) (レス) id: 0e13b830a8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:LAZU(らず) | 作成日時:2015年10月10日 18時