◇第二百四十六章◇ ページ4
彼──坂田銀時は、ほんの僅か後ろに下がったように見えた。
両親が殺されることなんて、この世界じゃよくあること。珍しくも何ともない。のに、何故彼はそんなに驚いているのか、私には全く分からなかった。
銀時「白、夜叉……」
何かを決心するかのように、一度下を向く。再び私の方へ返ってきた視線は、何処か遠くを見ているようだった。
銀時「俺、」
振り絞るような声に、少しだけ驚いた。まさか、この人は白夜叉の存在を知っているのだろうか。
いや、まさかそんなことあるはずがない。
銀時「俺、は」
終戦後、架空の人物として取り上げられたくらいに、実在していたのかも不安定な存在。
震える声、唇、拳。まるで、死をも覚悟するような、そんな雰囲気。
何故か申し訳なくなってしまい、私は彼の言葉を待たずに一言を発してしまった。
貴方「私にとって、他人の命なんてどうでも良い。自分勝手なんです」
そう言うと、何処か悲しげに、それでいて励ますように、言葉を返した。
銀時「自分勝手だろうが何だろうが、それが自分の決めた事なら、最後まで貫き通せば良い」
それは、きっと先程彼の言いたかった言葉ではない。
でも何だか、テキトーに言った言葉にも到底聞こえなくて、こんな私のことを否定しない彼に私はその時初めて、惹かれているのだと気付いた。
貴方「ここ、何でも屋でしたよね」
銀時「ん?おぉ、そうだけど」
だったらきっと、いつか白夜叉に関する依頼も来るかもしれない。
闇雲に探し回るより、効率良く手掛かりを見つけられるかもしれない。
それはもしかしたらただの言い訳で、私はもう、この人と──坂田銀時という男と、少しでも長く一緒にいたいと思ってしまったことを、否定できなかった。
貴方「私もここで働かせてください。私の、目的を果たすために」
失礼は承知だ。この人はちゃんと仕事として、万事屋をやっているのに。
私はこんなにも身勝手で、狡い。
それでも彼は、否定などしないで受け入れてくれる。
そういう人なのだ。お人好しで、馬鹿で、凄く格好良い。
銀時「……辛い思いだってするかもしんねーぞ」
貴方「そんなの、もう散々してきました」
銀時「そっか。分かった、好きにしな」
ほら、やっぱり。
そうやって、私は自分に言い訳をしてこの人を騙すんだ。
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アザラシィー - 更新待ってます。。(;∀;) (2月5日 13時) (レス) @page10 id: 1633d1d6d2 (このIDを非表示/違反報告)
華(プロフ) - 更新待ってます。 (11月29日 1時) (レス) @page10 id: 76125fe83b (このIDを非表示/違反報告)
maiko4444(プロフ) - 初めまして!!シリーズ面白くて一気に読んでしまいました…続きを楽しみに待ってます(*´ω`*)(占ツク初心者なので不備がありましたらご容赦ください) (7月8日 12時) (レス) @page10 id: fc040ed077 (このIDを非表示/違反報告)
レナ(プロフ) - おかえりなさい♪続き楽しみにしてました。 (5月26日 0時) (レス) id: 03c126c95f (このIDを非表示/違反報告)
ライキ - 初めまして!夢主ちゃんの両親を○したの誰だよ‼‼早く○ねよ‼‼とか思ってたんですが、○したのが白夜叉なら話は別だぁぁぁ‼‼銀時が白夜叉だと知った夢主ちゃんはどうなるのでしょうか…更新楽しみに待ってます‼ (2022年11月6日 10時) (レス) @page4 id: c3cdfe919e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:LAZU(らず) | 作成日時:2021年9月17日 1時