【実l況l者】魔法の言の葉【短編集】

涙味のファースト・キス/ky ページ30

「Aって可愛いよね」
そう発したうっしーにレトさんがすかさず反応した。
「クールに見えて話すと結構面白いしね」
「それな」
「足がエッロくて俺のお気に入りになりましたね」と言ったフジの脛を蹴った。
「いってぇ！！」と騒ぐフジを無視して俺は立ち上がった。

「紹介して」

俺のその言葉にその場にいた奴らはポカンと言う効果音が似合う顔をしていた。
うっしーだけはニヤニヤと笑いながら「本気？」と聞いてきた。
ただ興味があるだけなのか、この心臓が速く動く理由を、ただ「…確かめるだけだから」
「何を？」と聞いてきたレトさんに「レトさんは荻上さんて好きな子のことだけ考えとけ」茶化すように口を滑らせてしまい、「わー！！言うなや！！」と焦る割には虚しくその場にいた全員にバラす形になった。
まあ、わざとだけど。
それにここにいる奴らは全員知ってんじゃねーの？

無事に紹介して貰い彼女のLINEの連絡先をゲットした。
彼女の名前はAAさん。
綺麗でクールな印象はあれど、話すと話題が豊富で面白い…らしい。(うっしー調べ)
団体行動は好まず、決まった友人と2人で行動することが多いけれど、どこのグループにも馴染めるカメレオン性質があるようだった。
タイプは身長が自分より高くて-clear!強引だけど少しの優しさも持ち合わせていて-努力でclear!自分より頭がいい人-努力でclear!
かなりの情報をを教えてくれたうっしーにタイプの話を聞いた後に「俺じゃん」と言うと意外にも頷いてくれてお前かもね？と含み笑いをされた。

俺は早速部活の帰りにLINEを送ることにした。
うっしーに連絡先を聞いたことと、軽く自己紹介をした。
ものの数分で既読がつき返事が返ってきた。

Aわたしは知ってますよ、清川くんのこと

何で？と言う疑問だけが残ったけれど、その日は雑談をするようにお互いのことを自己紹介する感じで俺が寝てしまいLINEは終わってしまった。
誰かとこんなにLINEをするのは初めてで起きた時に「寝ちったわ、はよ」と送ると「おはよう」の文字と彼女とLINEを始めてから初めてのスタンプが送られてきてテンションがぶち上がった。

クラスが違えば会うことは、ほとんどないが、毎日LINEをして仲を深めていった。
名前呼びと敬語なしが定着するまでに2ヶ月も費やすくらいには鉄壁だったけど、粘り強くお願いし続けた。

それくらいには今はAに夢中だった。

涙味のファースト・キス/ky→←涙味のファースト・キス/ky

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す