【実l況l者】これは夢ではない【rt】 (ページ5)

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嫌な予感ページ5

結局、例のゲーム実況者とやらは来なかった。あのマスクの人が何でお化けでも見たみたいな顔をしたのかが気になり帰宅して鏡を見てみた。

「やっぱり眠そうな顔してる」

きっと顔に似合わずめちゃくちゃ良い人で「あ！お前……」の続きは「めっちゃ眠そうだな？！早く寝ろ！」だな、きっと。顔に似合わずと言うのは我ながら失礼過ぎるけど、まあもう会うこともないだろうしどうでもいいか。
朝一番のバイトは14時過ぎには終わり自宅へ帰り汗でべたべたになった身体をシャワーで流せばいつも通り15時過ぎには眠くなってきてしまう。最近はこの生活リズムのせいで毎日変な夢を見るのだ。何も起こらないとは言えやはり不気味で見ないに越したことはなく夜になっても眠るのが怖くなって寝不足を引き起こしていた。

……でも、だめだ、眠くて吐きそうになってきた。

時計が15時ぴったりを指していたのを確認してから即座に眠りの世界へ没入して行った。

しかし割と直ぐに目が覚めた。時計を確認すると16時過ぎだった。
何となく嫌な予感がして放っていたスマホを握りしめると真っ暗だった画面が点灯してふと画面を見て私は目を見開いた。
私の記憶が正しければ、今日の日付は9/4、そして時計が壊れていなければ16時過ぎのはずだ。しかしスマホは8/31の18時32分と表示されていた。

8/31ってこの変な夢を見始めた日付……？

また夢の世界か。それならそうでこの意味のわからない事象にも納得出来る。布団を剥ぎ寝室を出るといつもとは違う違和感。これは──人の気配がする。一気に背筋が震えて変な汗が出てきた。
怖いもの見たさなのか、見ていないことを確認して安心したいのか、建前は後者だが実際は前者の気持ちで人の気配がする玄関へ近付くと1人の男の人が立っていた。驚きと恐怖が入り交じり小さな悲鳴が出た。

「……あの」

声を掛けようと声を出すといつもの自分とは違う声が出たような気がした。そう言えば夢の中でこうしてはっきりと声を出すのは初めてかもしれない。

「だれ？」

不機嫌が乗った声には威圧感があった。
鼻をすするような音もして、もしかして──泣いてる？
それよりも彼の顔を見た私は理解出来ずにこっちが泣き出しそうになった。だってその顔は今朝見たマスク姿の男の顔だったからだ。声も車内で聞こえた関西弁の人と一緒だった。
恐怖で顔が引きつり後退りをすると、ふっとその姿は消えてなくなった途端、意識が途絶えた。