そして求めた関係へ ページ35
「彼氏おるんやったら数日は送り迎えとかして貰ったり休日はデートした方がええで」
レトさんの予定通りの台詞に我に返った。
おどおどしてるAに彼女のこれからの全てを掌握出来るだろう流れに俺はどうしようもなく興奮していた。
「何でですか……？」
「気付いてなかった？」
俺は足を組み直してから指でカメラを模して自分の右目を入れるようにあてがった。
「フラッシュで写真撮られてるから」
撮るように命じて言うなれば合成写真を作るように半ば脅したのは俺だけど。
Aは開いた口が塞がらずに俺の顔を見ていた。
「あいつはレトさんと付き合ってるって勘違いしてっかもしんねえから……」
そうそう、そのまま俺のことだけ見てて。
俺は神妙な顔付きになりつつあらかじめ考えていた台詞を繋げる。
Aが入れてくれたココアの入ったマグカップは猫のイラストが書かれていた。
これはわざとなのか？
持ち上げてひと口飲むとわざとらしくニコッと笑いかけた。
「彼氏いんの？」
暫く沈黙した後に伏し目がちに小さな声が聞こえてきた。
「彼氏なんていませんよ……」
「知ってる」
おっと、心の声が思わず出ちまった。
まあ、でもこれで好きな人がいる場合は好きな人はいますけど……と素直に言いそうだしこれで社会的に消さなきゃいけねえ人間の数は減ったな。
レトさんの溜息にも似た呼吸が聞こえる。
俺は徐ろに立ち上がりAの隣に移動して手を差し伸べた。
「俺が恋人の振りしてやるから感謝しろ」
「は、はぁ……って……えっ？！」
「お姉さんは知ってるかもしれないけど俺はエンターテイナーだから？」
得意気な顔で実況ばりに息継ぐ暇もない言葉で俺を着飾らせた。
「夢みせてあげることもできるわけよ」
まずは指先、そしてゆっくりと視線を奪った。
「さぁ、どんなオレに夢みてる？」
視線をあちこちに動かした後にどんな女でもいいそうな答えが返ってきた。
あとから「そんな人だとは思わなかった」って捨て台詞付きのアンハッピーセットのやつね。
そんじゃまあ、優しいスパダリモードでも提供してやるか。
好きは好きだった、こんなめんどくせえ計画するくらいに、盗聴するくらいに、意味わかんねえ嫉妬するくらいに、執着するくらいに。
このあやふやな気持ち、ちゃんと好きかどうか試させて。
��キヨ��じゃなくて俺を、見て、好きになって。
……そしたら、
「初めての恋人だから優しくしてあげんね？」
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なみの - えっ！？返信ありがとうございます・・過去作なので返して頂けるとは思ってませんでした。 (11月5日 13時) (
レス) id: 20a9a81cbb (このIDを非表示/違反報告)
luco(プロフ) - なみのさん» コメントありがとうございます。ヤンデレと言うより情緒不安定なだけのメンヘラになっちゃったような気もするのですが…エモ感じて頂けて何よりです！ (11月2日 8時) (レス) id: 4134a90f62 (このIDを非表示/違反報告)
なみの - ヤンデレキヨさん最高でした。エモ過ぎて泣いちゃった・・・ (10月15日 3時) (レス) @page50 id: 20a9a81cbb (このIDを非表示/違反報告)
なみの - 末永くお幸せにいいいいいいい((殴 (10月15日 3時) (レス) @page50 id: 20a9a81cbb (このIDを非表示/違反報告)
luco(プロフ) - 赤の黒犬さん» コメント通知が死んでいて気付かずレスがかなり遅くなり申し訳ありません。感想コメントとても嬉しかったです。後半ネタばらしは最初から決めていたのですが私も書いてて楽しかったです。私がメンヘラヨさんを書くにあたって気にした点を全て気付いてくださり嬉しいです (2022年10月2日 22時) (レス) id: 4134a90f62 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：luco
| 作成日時：2019年10月14日 7時
