笑えない心に麻酔を打った ページ15
初めて家に来た時も「どんなオレに夢みてる？」と聞かれたことがあった。
あの時はレトさんがいたからなあなあで済ませられたけれど手を差し伸べられてまでされた質問に対して答えないというのは些か不自然過ぎる。
「王子様……？」
とても典型的なメルヘン思考の短絡的な答えが口から漏れ出たことに動揺してしまい少し語尾が上がってしまった。
大体��どんな��って範囲が広過ぎる。
優しいなんてそんなのひとりひとり尺が違うからトラブルにもなりやすい。
それだったらこうふわっとした感じのものの方がお互い平和になるんじゃないだろうか。
そう考えるとメルヘン思考な答えが正解に近いような気さえしてきた。
わたしの答えに驚いていたキヨくんは差し伸べていた手を引っ込めるとその場で跪いた。
するとわたしの手をそっと取った。
「お手をどうぞ、お姫様」
こ、こんなのどんな女の子がやられたとしても、例えキヨくんのこと知らない人でも誰でも好きになるやつ！
触れられた手はいつも冷たいくせになぜか温かくてそれがもっと自分の鼓動を加速させる。
「こんな感じ？」
そう言ってわたしを見上げたキヨくんはとても満足そうな顔をしていた。
「……やっぱりいつも通りでいい、よ」
床に置いていた鞄を拾い上げて赤くなった顔を隠そうとしたのに突然耳を触られてビクッと身体が反応してしまった。
「な、なに？！」
「戸締りちゃんとした？見て来てあげるから用意してて」
靴を適当に脱ぎ捨て部屋へ上がったキヨくんは窓の戸締りを確認しているようだった。
そんなことよりもキヨくんが戻って来る前に、この上がった心拍数を抑えつけなくては……勘違いしない、しても意味ない。
これはただわたしの身を守ってくれるキヨくんの優しさからなった捏造の関係。
いつかは終わる。
いつかはただの視聴者と投稿者に戻る。
「準備出来た？」
顔を覗き込まれて我に返る。
「う、うん」
「……何か考えてた？」
図星を突かれてギクッと反応してしまった。
キヨくんは、ふ〜〜〜んと長い相槌を打ちながらジーッと見てきたけどやがてニヤリと笑ってから手に持ってたわたしの鞄を奪い取った。
「……ハグでもすっか？」
頷いて笑みを返したけれどちゃんと笑えていたかはわからない。
包まれたキヨくんの香りに目頭が熱くなる。
いつか終わるとしても今この
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違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
なみの - えっ！？返信ありがとうございます・・過去作なので返して頂けるとは思ってませんでした。 (11月5日 13時) (
レス) id: 20a9a81cbb (このIDを非表示/違反報告)
luco(プロフ) - なみのさん» コメントありがとうございます。ヤンデレと言うより情緒不安定なだけのメンヘラになっちゃったような気もするのですが…エモ感じて頂けて何よりです！ (11月2日 8時) (レス) id: 4134a90f62 (このIDを非表示/違反報告)
なみの - ヤンデレキヨさん最高でした。エモ過ぎて泣いちゃった・・・ (10月15日 3時) (レス) @page50 id: 20a9a81cbb (このIDを非表示/違反報告)
なみの - 末永くお幸せにいいいいいいい((殴 (10月15日 3時) (レス) @page50 id: 20a9a81cbb (このIDを非表示/違反報告)
luco(プロフ) - 赤の黒犬さん» コメント通知が死んでいて気付かずレスがかなり遅くなり申し訳ありません。感想コメントとても嬉しかったです。後半ネタばらしは最初から決めていたのですが私も書いてて楽しかったです。私がメンヘラヨさんを書くにあたって気にした点を全て気付いてくださり嬉しいです (2022年10月2日 22時) (レス) id: 4134a90f62 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：luco
| 作成日時：2019年10月14日 7時
